第5話 消えた史実
——妖怪、幽霊。
日本で伝承される民間信仰において、人間の理解を超える怪奇で異常な現象や、それらを起こす不可思議な力を持ち、非日常的、非科学的な存在のことを指す。
「
「今朝の出来事は夢だと思ってます。妖怪や幽霊を信じることは馬鹿にされますから。でも
「なら、もう少し消された史実を話してあげよう」
(いいのか? 一般人の俺にペラペラと話していい内容ではないはずだ? 何か企んでるんじゃないのか? でも、歴史好きの俺にとって真実を知れるのは嬉しい。それにこんなファンタジー漫画のような展開が聞けるのは正直ワクワクする)
「まず
存在する妖怪や幽霊の中には、危害を加えないモノもいる。
一方で危害を加える妖怪や幽霊を区別するために
日本において最も古い
「
天平の疫病大流行である。
七三五年〜七三七年の間に疫病が大流行し、多くの国民が死んだ恐ろしい疫病だった。
疫病を大流行させてしまった原因は、都に人が集まり過ぎたせいで、不衛生になったしまったことにあるとされているが、本当は女性天皇が頻度に即位したことにあった。
「疫病が流行る前は、女性天皇が頻発に即位していた。女性天皇にも神器を使役する力はあったんだけど、なかなか上手くいかなくてね…
推古天皇(五九二〜六二八)
皇極天皇(六四二〜六四五/六五五〜六六一)
持統天皇(六八六〜六九七)
元明天皇(七〇七〜七一五)
元正天皇(七一八〜七二四)
結果として、
だが、それも敢えなく失敗に終わり、疫病が収束した七三七年。当時の天皇は
しかし実際には、敏腕政治家でありながら、
これが"消えた史実"なのである。
(すごい…歴史に合致して説得力のある話だ。本当に妖怪や幽霊は存在するんだ。でも妖怪や幽霊はどうやって生まれるんだ?)
妖怪や幽霊が生まれるのには、ニつの理がある。
一つは、人々による負の感情によるものだ。人間の強い負の感情は、憎しみや悲しみの果てに怨霊へと成り代わる。飛鳥時代〜平安時代には不吉なことは全て怨霊の仕業だとする考えがあった。
これを
もう一つは、三大悪妖怪の妖気から生まれる。
(でも
「
「んー殲滅は失敗したと言っていい。日本の歴史の中で三大悪妖怪がいるのは知っているだろ? コイツらが厄介な
——日本三大悪妖怪とは。
「この三大悪妖怪を我々は邪妖怪と呼び、邪妖怪は強大な力を持ち、日本を魔国に変えようとしていた。結果的に倒すことは出来ず、ある方法を取るしかなかったんだ」
ある方法。
それは三種の神器の中に封印するというものだった。そのため、それぞれの神器の中には、三大悪妖怪が今も眠っている。
酒呑童子は
玉藻前は
大嶽丸は
三大悪妖怪を封印した神器は、一二五代天皇の意向によって各神宮へ保管されることになったのだ。というより一二六代天皇になる真子様にそのやる気がないらしい。結果として女系天皇になることは確定しているため、五摂家である
「だけど、封印していた力も徐々に薄れてきているみたいなんだ。おかげで
「封印されているのに、どうして
「上皇となる
封印に使われる神力と呼ばれる力は徐々に弱まり、結果として妖気が神器から漏れ始めるという事態になっている。
「漏れ出た妖気によって誕生したり、人を喰っているみたいなんだ。行方不明者の中には、見つかっていない人もいるだろ。そういう人たちは、妖気に喰われて
「それで、邪妖怪はどうするんですか?」
「その復活は近いかもしれないね。そうなれば…祓うしかないんだよね」
「倒せる自信があるんですか? 歴代三貴子が祓えなかった
「厳しい事言うねー。
(なんて人だ。歴代天皇や歴代怪異師が倒せなかった
「それに良い人材を見つけたのもある」
「良い人材…ですか?」
「時に
「いや鬼みたいなものは見た事ないですよ! ただ小さな頃から霊感は強かったかもしれないですね」
「京都に来たことで妖気によって第六感が目覚めたか…。もしくは…」
「あ…あの〜俺に何かあるんですか?」
「あるね。とにかく、
「はい?」
こうして俺は怪異師への道を提示された。
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