030. 北白川舞、やっぱり人生詰んでる…?かな
「おはよー」
教室に入りながらいつもの様に友だちにあいさつしたけれど返事じゃなくて冷たい視線しか返ってこなかった。
友だちの周りにいた他の人たちがチラチラ私の方を見てくる。
私は首を傾げた。
「みんな…どーしたの?」
「……」
私の声に誰も答えてはくれなかった。
「ねぇ…みんな…」
皆の顔を見たらさっと視線を逸らされた。
そんな動作を何人かと繰り返した後に教室に入ってきたクラスメイトが私にスマホのニュース画面を突き付けてきた。
今朝のニュースだった。
今日も昨日も隣の家に亜月が帰って来ないのが気になってその他のことが耳に入らなくなっていたのでこんなことは何も知らなかった。
クラスメイトが見せてくれたニュースを自分のスマホで見た。
麗夏ちゃんの家ではなんだかすごいことになっちゃった。
おじさんとおばさんは警察に連れて行かれたけど麗夏ちゃんもあの日家に居た。
まぁその後、女の人にどこか連れて行かれたけど。
じゃぁ、亜月はどこに行ったの?
あの日から亜月はあの家に帰って来ない。
いろいろ考えながら机で隠しながら見ていたら誰かが私の机の上に紙切れを置いた。
【 あなたとは友だちと思われたくないので私たちに話しかけないでね】
たった一文だけ書かれた手紙にグサリと何かが胸に刺さった気がした。
友だちと思われたくないと言われちゃった。
ショックだった。
誰の顔も見ることができなくなって下を向いてしまった。
そのまま下を向いてスマホのニュースを読んだ。
ニュースには簡単にしか書かれていなかった。
麗夏ちゃんのおじさんが会社のお金を横領していたことを警察に告発があり逮捕になったと書かれていた。
それに関連するニュースなのんか家族で逮捕されたからなのかおばさんも殺人に関することで逮捕されたというのがあった。
ニュースの記事によっては実名報道されているものもあったからそういうのを見た人から噂になったんだろうな。
そんな時に麗夏ちゃんも学校に登校していないから余計に噂れちゃったんだね。
「こいつも何かやらかしたのか?」
冗談みたいに言う子たちもいた。
「そういえばもう一人同じ名字のやつがいたよな?」
「そんな奴いたか?」
「あぁ、Aクラスの中にそんな名前いたっけ?」
「こんな名字あんまいないしな」
「やっぱこっちも関係あんじゃん」
「Aクラスの教室見てきたけどやっぱりその子も登校していないんだって」
誰も本当のことを知らないから勝手な憶測だけが教室内で飛び交っていた。
昼休みには私は教室にいられなくなって購買部に行こうと廊下に出た。
廊下を歩いて行くと紫凰君が通りかかった。
「あっ、紫凰君。ねぇ!亜月はどこ?麗夏ちゃんち行っても誰もいなかった。昨日も亜月はいなかったの!紫凰君だったら何か知ってるんでしょ?ねっ!教えてよ!」
私は紫凰君の腕を掴んで亜月のことを知っているだろう彼に問いただした。
「何故君に俺は名前で呼ばれなきゃならないんだ?それに亜月のことを俺から話すことない」
私、何かした?紫凰君怒らせるようなことしてない…はず。
でも紫凰君…怖かった…。
亜月は私の幼馴染みなんだから教えてくれてもいいでしょ?
そう思ったけれど紫凰君の迫力に負けて言えなかった。
授業も始まるし、廊下で少し大きな声出しちゃったから近くにいた人たちに見られていたので仕方なく教室に戻った。
教室でもさっきの紫凰君とのやり取り見ていた子、いたんだろうなぁ。
なんだか皆の視線がやっぱり痛かった。
その後も何度か紫凰君とすれ違う度に亜月のことを聞いた。
紫凰君も亜月にはどういう理由かわからないけど会えないみたいで私が聞こうと近寄ると機嫌が悪い。
ものすごくイライラしているみたい。
「俺だって亜月に会わせてもらえないんだ!それなのに何故他人のために俺が亜月に会わせてやる段取りしなきゃならない?!」
「私だって亜月の幼馴染みなんだから知る権利はあるでしょ?!」
私は紫凰君に負けないように精一杯張り合った。
「は?!お前が亜月の幼馴染み?笑わせるなよ!亜月の一番大変で辛い時に何した?!ずっと笑っていただろ?もう亜月に近づくな!!」
「ひっ!」
人の少ない場所で話したかったけれど紫凰君は周りのことは気にせず大きな声で言われてしまった。
そういう行動が目立ってしまって私も麗夏ちゃんと同じように何かしたんだって目で見られているようだった。
麗夏ちゃんも一週間くらい学校を休んでいたみたいで話もできなかった。
登校してきた麗夏ちゃんは今までとは全く違っていた。
自信たっぷりで我が儘なお嬢様気質だった麗夏ちゃんは一人ぼっちでいるのをよく見かけるようになった。
麗夏ちゃんが通れば皆から注目されちゃってるから私は側にいられない。そこまで私のメンタルは強くない。
でも今までずっと麗夏ちゃんと一緒にいたのはクラス中に知られているようだった。
その所為で私まで悪いことしたんじゃない?って思われているのかもしれない。そんなことしてないって知っているのは亜月だ。亜月だったら私がそういうことをする人じゃないって証明してくれるかもって思っていた。
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