1章 14話 大天使 キマエル

アリサのおかげで意識を取り戻した俺達はすぐにその場から離れようと歩き出そうとした瞬間空から無数の矢が放たれた。


「何だ?!」


俺達はすぐにその場から避け矢から逃れることが出来たが何が起きたか一瞬理解出来なかった。すると空から何者が現れた。


「さっすが〜強大な力を持つ者だね〜こんなしょぼい矢程度じゃ死なないか〜」


空から現れた者の姿はどこか幼そうな少年の雰囲気を持っており赤髪が目立っていた。


「お前は何者だ!!」


俺は奴から少し距離を取ろうと後ろに下がる。何か嫌な感じがしたからだ。


「僕の名は大天使キマエル!四大天使……君達で言うところのフォースの1人さ!」


「へぇ〜いきなり本命がお出ましかよ〜」


奴は俺達が探していたフォースの1人だったらしい。それにしても見た目的に強そうとは思わなかった。こんな奴が本当に四大天使の一人なのかそう思いながらも少し警戒はしていた。


「どうする圭?とりあえずここで戦うとなると周りに危害が加わるわよ。」


「だよな……とりあえず周りの皆を避難させるしかない。アリサ任せてもいいか?」


「ええ……任せなさい!でも気をつけてね、狙いは貴方達なんだから。」


「心配すんな……俺達なら負けねぇから」


俺はこのまま奴と戦うと周りの人々に危害を加えないためにアリサに避難誘導を頼んだ。そして誰もいない状態でルシウスの魔力を使い強力な結界を張った。


「無事に結界は張れたな」


「ねぇ〜いつまで待たせる気なのぉ〜僕暇なんだけど〜……待てないから僕から行くね?」


キマエルはそういうと空から無数の穴を出現させる。そこから先程のように無数の矢を放つ。


「へっ……さっきと同じかよ?2回も同じでは食わないって!!」


俺は矢から距離を取ろうと思いっきり走った。しかし矢は真下に落ちるのではなく俺の方向に向かってきた。


「おいおいおい……必ず命中するやつじゃね?!」


「行け行け〜!!どうやら僕が出る幕ではないね〜」


俺は必死に走るが無数の矢はどんどん加速していってるように感じた。


「おいルシウス!!これどうすりゃいいんだよ!!」


「こういう時は撃ち落とすか払い落とすしか方法はないだろ?」


「そんなのどうやりゃいいんだよ!!」


「そんなの簡単だ、お前が魔力エネルギーを一点に集中すれば力が出てなんとかなるに決まってる。」


「何だよそれ……そうと決まればァァ!!やるしかねぇじゃんかぁ!」


俺はルシウスにアドバイスを貰うと矢の方向に回転しすぐさま集中力を高める。すると自分でも身体中のエネルギーが一点に集まってることを感じた。


「っ!!」


俺は一気に溢れ出した魔力エネルギーに耐えきれず膝を付いた。ちぎれるくらいの痛みが両腕全体に駆け巡った。


「はぁはぁ……何だこれ……」


俺は何とか痛みに耐えることが出来た。立ち上がろうとした時、俺の両腕が変化していた。


「これはあの時と同じ腕だ!でも何故両腕何だ?」


「それは多分お前の魔力エネルギーを全て腕に集中させたことによる変化だと思うな。でもその腕流石に気味が悪いぜぇ?これじゃ本当に悪魔みたいだな!」


「悪魔ねぇ〜おもしれぇじゃんか、最強になるための第一歩ってことでよ!」


俺はそう言うとキマエルの方向に走り出した。無数に放たれる矢を何とかしないと奴を直接叩けない。俺は矢を振り払いながら奴の元に向かう。


「うわ〜何か変化した〜!!面白いねぇ〜それにしても矢を振り払うなんていい考えだねぇ〜」


キマエルは笑いながら俺達をずっと見ていた。こいつは何を考えてるのだろうと思いながらも俺は矢を振り払い奴に近づく。


「ちっ!キリがねぇぞルシウス!!」


「だろうな、これはもう吹き飛ばすしかねぇだろ。」


「吹き飛ばすだと?!そんなこと出来んのかよ!」


「そりゃ何だってできるだろ、お前の力で吹き飛ばすことくらい。」


「んじゃあやってみるわ!」


俺はルシウスに言われた通りに矢を吹き飛ばそうと両腕を上にあげ思いっきり下に振り下ろした。するととてつもない突風が吹き矢が吹き飛んだのだ。


「わぁお、こりゃすげぇ」


俺はまたしても驚いた。そして矢が無くなった今奴を叩きつけれるチャンスがきた。俺はそのまま奴目掛けて走り出した。


「すごいね〜流石だ〜矢を吹き飛ばすなんてぇ〜!でもねぇ〜そんな程度じゃ僕を倒せるはずがないよ。」


キマエルはそう言うと俺の背後に立っていた。


「何?!」


何が起きたかわからなかった。だが瞬きをした時にはキマエルは目の前には居らず背後に立っていた。そして俺は地面に横たわっていたのだ。


「あはははは〜いい表情してるねぇ〜!!面白い面白い〜!君にだけ特別に教えてあげるけど、僕の能力はねぇ〜動く速度を自在に変えることができるんだよねぇ〜目に見えない速度で動けるし〜速すぎて攻撃されたことにも気が付かないこともあるんだよね〜これが僕の能力、光速さ!」


「おいルシウス、お前気が付いてたか?」


「気づくわけないだろ、俺様もあいつの位置がわからなかった。」


俺達はとんでもない奴と戦うことになってしまった。奴に勝つにはどうすればいいかと考えようとしたが考えてる間に攻撃されると思いひとまず距離を取ろうと一歩後ろに下がった。


「あれれ〜距離取る気なの〜まぁ僕は君に近づけるから意味ないんだけどね〜それでどうするのぉ?僕をどうやって倒す気なんだい?」


「そんなの決まってる、勝つまでぶっ倒すまでだぜ!行くぜルシウス!!」


「おお、やってやろうぜ!!」


俺達はキマエルに勝てる保証がない状態のまま奴に立ち向かう。




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