1章 4話 二人で一つ

「あれ?俺は生きてるのか?」


俺は生きていた偶然にも打ち所が良かったらしい。身体のあちこちが痛く上手く立ち上がれなかったが少し違和感があった。


「まぁなんとか無事でよかった。とりあえず保健室に行くか。」


俺はそう言ってその場を離れようとしたその時だった。


「おい、お前人が助けてやったんだから礼を言え!」


突然どこからか怒鳴り声がした。


「は?!どこから聞こえんだこの声、助けた?!なんのことだ?」


「そりゃそうだ、だって死にかけてたんだからな〜俺の名はルシウス、お前と同じで重症だった。そして、心優しい俺がお前の体に入ったと言うわけだ!」


なんということだ……あまりにも異例な事に流石の俺でも理解が追いつかなかった。


「なら出ていけ、用はないだろう」


「無理だ。俺はもう出られないというか一生このままだぞ?」


「は?なんで、何でだよ!!」


「しらねぇ、俺に聞くな!」


「随分とご機嫌ですねぇ〜」


「誰だ?!」


「わたしはエルダ様からのご命令でルシウス様が無事に消滅したか確認するように見に来たのです。それにしても人間と融合したとは思いませんでしたねぇ〜まぁ殺すことには変わりませんから別にいいんですけどね」


俺は察した、俺に取り憑いたやつが何らかの理由があり殺されに来たのだろう。


「てか、何で俺まで?!」


「知らねぇよ、生きたかったら俺の指示に従って戦え」


「俺の中であまり話さないでくれ外に聞こえるし恥ずかしい」


「何を言ってるんですかね?うるさいですよ!静かに死んで下さい!」


「嫌だね、俺は俺なりのやり方で学校生活を送るんだ!死んでたまるか!」


俺は戦おうと目の前の敵に向かって走り出した。こいつの力を知らないまま訳もわからずただがむしゃらに。


「喰らいなさい!!エンジェルアロー」


光の矢が俺たちの方に降ってきたので、それを右手で振りかぶった。

俺の力が強すぎて光の矢を右腕で振り払うと発生した風圧で壁が一部崩れてしまった。


「やべ、あとで治そう」


「ごちゃごちゃとうるさい人たちですね!」


「お前の方がうるさい!」


俺は相手にパンチを入れて吹っ飛ばした。


「わぁお」


俺はある意味驚いた。

きょとんとしてしまう程早すぎる速度で飛んでいったからだ。


「おいおい!これ人間が出す力じゃねーぞ? !」


「グハッ!!ふぅ、なかなかやりますねぇ!ならこれでどうですか?」


すると相手は大きくなった。


「勝てねぇなこれ」


「どうだわたしの巨大化は!勝てないぞ?」


相手は強い、今の俺じゃ勝てない、このままだと俺は死んでしまう。


「おい、ガキ!俺と力を合わせろ!お前に俺の力を使わせる、わかったな?」


「は?!何言ってんだよ、勝てっこねぇよ?!」


「勝てる!俺を信じろ!俺には夢がある最強になる……神をも悪魔をも超える最強になる夢がな!それを叶えるためにここで死ぬわけにはいかねぇんだよ!」


「ったく、わかったよ!死んだら生き返った意味がねぇからな!」


「よくわかってんじゃねえかガキンチョ」


「ごちゃごちゃとうるさいですね!さっさと私に倒されなさいクソガキ!」


「俺は、ガキじゃねえ……青海圭だ!」


この時俺たちは一瞬ひとつになった。

そういうと、俺の右手は黒い炎に包まれて、形が変わった。

まるで悪魔みたいに、右腕が変化した。


「行くぜ!」


そして俺は巨人の両手、両足を悪魔化した右手で引き裂いた。


「グワァ!」


「これで終わりだァァ!the end!」


俺は変化した右手に力を込めた。

そして俺は80mはある敵の体目掛けてジャンプをし、思いっきり殴った。そしてエルダの手下は塵となって消えた。

あまりにも強大過ぎる力に周りの建物のガラスが割れ、周りの木々はなぎ倒され、地面は奥深くまで削れた。

俺は戦った後、深呼吸をして地面に座った。


「やっぱ、コントロールできねぇな」


「圭、やればできるじゃねぇか。」


「ああ、それに周りを治さねぇとな。でもどうやって治せばいいんだ?」


「俺には修復能力がある。それを使って元に戻してみろ」


俺はルシウスに言われた通りに地面や木々等を元に戻した。


「俺の力きしょ!」


「そんなことよりよろしくな圭。」


「ああ、こちらこそ頼むぜ。」


こうして俺は、ルシウスと出会い普通の人生から一変変わった人生を歩むことになった。だが、まだ俺たちは知らない。

この学園に俺たちを狙う者がいることを。

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