懺悔の時間


「何をしているのです!?神聖なる礼拝堂で!」


「神聖ねぇ……この宗教は真っ黒だというのに」


「こんな記事でっちあげです。愚かなマスカとアマラによるクーデターです!皆さん、信じてはいけません!」


ミーナは信者に説く。

──まずい、このままだと自分たちが嘘つきに仕立て上げられる。

こうなったら、決定的な音声を聞かせるしか手段は無い。


「これを聞いても同じことが言えるのかよ」


リュクレーヌは、昨日の彼女たちの会話を再生した。

突如再生される音声に、あれ程ざわついていた信者たちは一切口を閉ざした。

沈黙の中再生される音声。


そこには、ミーナとウェスペルの罪が自らの声で並べられる。

全てを再生し終わった後、もう言い逃れの出来ないミーナは青ざめた顔でリュクレーヌの方を睨みつけた。

だが、睨むだけだ。何も言い返せないのだから。


「ほら、ここは礼拝堂だ。懺悔する事があるだろう?後ろに隠れてる編集長さんを金で買収してアマラを叩く記事を書かせた事とか」


「ぐっ……」


「それとも、アマラ軍から手に入れた死体と戒律を違反した信者の死体を、お前の言う事聞く土人形にした事か」


「……」


「はたまた、自分の理想郷の為に他人の自由を奪った事か」


リュクレーヌが変わりに彼女の罪を並べる。

すると、信者のざわめきがどんどん大きくなっていた。


「どうなってるんだ」


「嘘だろ、俺達殺されるのか」


「そんな、ゴーレムは人間の味方じゃなかったのか!」


「記事が嘘?アマラの事もでっちあげだと」


「理想郷?説明しろ!どういう事だ!」


騒音の中には状況が理解できない信者たちの声も紛れていた。

それならちゃんと教祖の口から、とリュクレーヌは自白を促した。


「ほら、説明してやれよ。自分とこの信者に」


「……」


ところが、ミーナは口を閉ざしたままだ。


「……アンタが説明しないのなら、俺たちがしてやる」


致し方ないと、リュクレーヌとフランが事件のあらましを説明する。


「この記事に書いてある通りだ。ここに居る皆、このインチキカルトババアに騙されてんだ」


「僕がゴーレムと戦ったのは、ゴーレムが襲ってきたからなんです。そして倒されるふりをして、ネオン新聞社にネタを提供した」


「そして、テレーノ教はネオン新聞社の大型スポンサー。当然逆らえることもなくこいつの言われた通りの記事を書くしかない。世論もこいつの思うがままだよ。そうだよな。ウェスペル編集長」


「え、えぇ……」


ウェスペルに確認を取ると、彼は居心地悪そうに同意した。

つまり、全てを認めたという事だ。

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