ゴーレムの主
「……どういうことだ?」
「同じ術……同じ仕組みという事だ。あの人形はマスカと同じものだな」
だが、ゴーレムがマスカであるならば、おかしな点がある。
「じゃあ、どうしてゴーレムはマスカを倒したの?悪いマスカがマスカで良いマスカがゴーレムってこと……とか?」
「その考えは大いにあり得る。リュクレーヌのように、自我を保っているのかもしれないし、或いはファントム以外の人物が手を引いているかだな」
仲間割れの理由は二つ考えられる。一つはゴーレムには自我があり、人間を護るという意思の下マスカを倒している場合だ。
もう一つはゴーレムの所有権はファントムではない場合だ。
前者の場合は、リュクレーヌと同様に自我があるので、協力関係に持ち込められれば心強い。後者の場合は、所有者の特定をしなければならない。
「でも、ファントム以外がマスカを作れるの?」
だが、そもそもファントム以外にマスカの契約を持ち掛ける事の出来る人物など居るのだろうか。
「マスカの術はファントムだけのものじゃない。フランの銃もそうだろう。」
「そうだったな。発動しないけど」
「だとしたら、マスカの術を使ってゴーレムを操っている奴が居る。ファントム以外にな、悪魔かもしれないし人間かもしれない」
ファントム以外の悪魔が契約している可能性。いや、悪魔でない可能性もある。とブラーチは言う。
──人間?人間がマスカを作る事が出来るのか?
リュクレーヌは疑問をぶつけた。
「そんな事、出来るのか?人間に」
「ファントムに憑依された人間なら出来るだろうな。人間が悪魔に憑依されると魔術師になるからな」
ファントムに憑依されて魔術師になった人間。つまり──
──まさか、ルーナエが!
リュクレーヌの脳裏には、悪魔に取り憑かれてしまった弟の顔が浮かんだ。
「今分かるゴーレムについての情報はこれくらいだな。ゴーレムを操る人間に心当たりがあるならば、当たった方がいいぞ」
「そうだね、リュクレーヌ!調べに行こう!」
「あぁ!」
ゴーレムを操る人物は弟かもしれない。
だとすれば、彼は自分のしてしまった過ちを正すために、自分の創ったマスカを壊しているのかもしれない。
そう考えたら、リュクレーヌは居ても立っても居られない。ドアを開け、早速ゴーレムについて調べに行くことにした。
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