ゴーレムの正体
「勝手だな。勝手に信仰したと思えば勝手に糾弾する。無関係のアマラまで巻き込まれて……いや、むしろアマラ軍は被害者か」
「だが、オクトは『死体はもう全て火葬した』と言っていたぞ、アマラを作ることには使っていなかったそうだ。奴のやった事はファントムが仕掛ける奇襲をリークし、利用しただけらしいが」
「それは本当なんです?」
「実際に直後にアマラ軍を調べたが、死体は発見されなかった。オクトが所有していた線は薄いと俺たちも考えている」
警察の調べではオクトはファントムと協力関係であったが、マスカを作った事には関わっていないだろうという結論が導き出されていた。
「オクトが嘘を言っているか……まだ何かあるかだな」
「何かって?」
「第三勢力……とでも言うべきかな」
マスカ対アマラ。この二者に対抗する勢力。
──いや、いるじゃないか
タイムリーに現れた存在が。
「それって!」
フランが言いかけた時だった。玄関のドアが開き、リュクレーヌが呼んだ客人が現れた。
ブラーチだ。
「呼ばれたから来たが、怪我人という事か?」
ブラーチがまず目についたのは、ガーゼを額に当てたクレアの姿だった。
医者という事もあり、手当の依頼かと思っても無理はない。
「それもあるんだけどな」
「大丈夫よ、ブラーチさん。リュクレーヌが手当てしてくれたから」
「ならいいが……」
まだ心配そうに、クレアを見つめながら、伏し目がちになる。
今回、ブラーチが呼ばれたのは医者としての依頼ではない。魔術師として、聞きたいことがある。
リュクレーヌは本題に入ることにした。新聞をローテーブルに置いてゴーレムに関する記事を指さし、ブラーチに見せる。
「早速だけど、この記事にあるゴーレムの正体、お前分かる?」
「あぁ、電話で言っていた件だな。ちょうどペストマスクの人形がうろついていたから、魔術を解析したんだが」
ゴーレムは街に居た。
リュクレーヌに事前に聞いていた特徴から、彼らが件の第三勢力という事かと、ブラーチは術を使い、彼らに魔術がかかっているかを解析した。
結果として、魔術は検出された。つまり、ゴーレムは人間でもなく、ただの人形でもないという事だ。
「おおっ!それはちょうどよかったな」
「だが……あまりいい結果ではないぞ」
「いい結果じゃない?どういうことですか?」
フランが聞き返す。都合の悪い結果なのだろうか。
ブラーチは一つ呼吸を置いて、結果を報告する。
「ゴーレムは、マスカだ」
ゴーレム、イコール、マスカ。ブラーチの提示した結果に誰もが怪訝な表情を浮かべた。
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