闇オークション
◆
目を覚ましたのはひんやりとした暗闇の中だった。
「ん……」
腕は頑丈な手錠が鎖に繋がれている。
腕だけじゃない。
力づくで拘束を解こうとしても、びくともしない。
よく見ると、鎖には封印を意味する十字架がところどころにあしらわれていた。
「はぁ?なんだこれ……」
周りは闇に包まれ、視界に入る者は黒色しかない。
リュクレーヌにとって意味が分からないままだった。
その時、闇に包まれていた空間は、ぱあっとスポットライトが差し込み、一部、光で照らされる。
「レディースアンドジェントルマン!ようこそ、化けの皮オークションへ!」
ようやく、ここがどこなのか分かった。
一日目にショーをやっていたホールだ。
自分は鎖で縛られている上、巨大な鳥かごのような檻に閉じ込められている。
少し離れたところに、赤い布がかかった何かがある。
一人の男が、声を張り、客席の方へ語り掛けた。
その正体はリュクレーヌが犯人だと睨んでいたアルティムだった。
やはり、推理は当たっていた。
だが、罠にかかってしまい、拘束されたわけだが。
「本日の目玉商品はこちら!不死身の名探偵です!」
「はぁ、なるほどな……闇オークションか。マスカの」
「その通り」
「やっぱりアンタだったんだな。マグネティカさん……いや、パイラート船長!」
リュクレーヌが正体を告げる。
そう、一見アルティムのように見える彼の正体は、この船の長マリノスだった。
つまり、彼はアルティムの皮を被ったマスカだ。
「やはり気づいていたんですね……見ましたか!皆さん!この通り私めの正体を見破っています!」
誇らしげにマスカは観客に語り掛ける。
観客たちも割れんばかりの拍手を送った。
リュクレーヌはもう一度辺りを見回す。
すると、見覚えのある女が居た。
ディラだ。
つまり──
「……ここのスタッフ全員グルだったって訳だな」
「その通り。それでは、折角ですし、ご自慢の推理をお披露目してもらいましょう!」
マスカはリュクレーヌに推理を披露しろと促す。
リュクレーヌは一度、ちっと舌打ちをすると、しぶしぶ口を開いた。
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