罪人への報い
「くそっ……強い……援軍を呼んで!」
「分かった!」
指示を受けたリュクレーヌは病室の外にある電話の方に向かった。
「させるかよ」
だが、ファントムが先回りして電話を破壊する。
これでもう、外部への通信は不可能だ。
「あっ、くそっ……ラルファさん!」
「何だ!」
こうなったら、託けるしかない。
「アマラ軍を……クレアを呼んでくれ!」
時間はかかるかもしれない。
外に繋いだ馬を使って、ロンドンまで戻る。
そこからアマラの本部に連絡しても手続きやらなんやらで更に時間がかかるかもしれない。
だが、クレアなら、立場上緊急だと判断されれば、すぐに動く事も出来る。
それに彼女ほどの戦闘力があれば太刀打ちできるかもしれない。
ラルファが、指示に応じようとした。
「間に合うと思っているの?」
それすら無駄だと、希望を踏みつけるようにファントムが言い放つ。
もう一度指を擦り、パチンと鳴らした。
先ほどまでフランと応戦していたはずのマスカのうち一体が呼び出された。
そして──
「ああああああっ!!」
「ぎゃあああああああああっ!!」
男と女、二人分の断末魔が響いた。
砲弾はアマリリスとブルームの方に放たれた。
まるで彼らだけを狙うように。
何発もの砲弾を喰らい、跡形もない二人は、血まみれの肉塊となってしまった。
惨いことに、一番大きく重たい砲弾は彼らの頭を狙い、頭蓋骨の割れ目からは脳と思われる物体が見えていた。
「あははははっ!いい気味だ!子供を利用した罰が当たった!」
げらげらと腹を抱えてファントムは嗤った。
彼が何故それほどに嬉しそうなのか?そこに居た者には何一つ理解できない。
だが、ファントムにとって、他者の理解など心底どうでもよかった。
次の標的を見つけて指を指す。
「次はアンタだよ。この子達を騙してマスカにした罰だ」
そう言ってファントムが指名したのはアメリアだ。
「あ……嫌……」
脚がすくんで動けない。
逃げなければならない。だが、恐怖で体がいう事を聞かない。
佇み、もはや死という罰を受け入れるしかない。
アメリアが目を閉じた瞬間だった。
「!?」
砲口を向けていたマスカに強い蹴りと弾丸が直撃する。
「逃げて!!」
フランが叫ぶ。
その声にようやく我に返ったのかアメリアはラルファに連れられて、病院から逃げ出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます