見えないはずの魂

「お、終わった……」


何はともあれマスカが解放され、ようやく全てが終わった。フランはへとへとになりながら座り込む。


「ほぼ、クレアの独壇場だったけどな」


「だって、まさかクレアがアマラ軍の……しかもガーディアンだったなんて」


フランはちらりとクレアの方を見つめる。

まさかあの、訓練所を途中で辞めたクレアがアマラ軍のエリート組、ガーディアンだなんて。


未だに信じられなかった。


「黙っていてごめんなさい。訓練所を辞めたのもガーディアンに所属が決定したからなの。」


「そうだったんだ……」


「本当は秘密なんだけど、バレちゃったものは仕方ないわね……」


モスグリーンの軍服から白い手を差し伸べる。


「アマラ軍、ガーディアン所属クレア・スティノモスよ。改めてよろしくね」


フランは手を取り。握手をした。


──あぁ、幼い時に共に過ごした友人がこんなに立派になって


目頭が少しだけ熱くなった気がした。


「なんだよ、フラン。泣いてんのか?」


「なっ、泣いてない!」


ニヤニヤとしたリュクレーヌに顔を覗き込まれて、フランは否定する。

すると、リュクレーヌはクレアの方を向いた。


「まっ、これでクレアも一緒にマスカの魂を救うことが出来るな!」


「魂を救う?」


クレアが首を傾げてリュクレーヌにおうむ返しをする。


「あぁ、さっきさ、魂が飛んで行ったじゃん?あれを救ってんだよ。俺ら」


「え、魂?」


クレアは怪訝な表情をする。それもそのはずだ。


「……何も見えなかったわよ?」


魂。そんなものはクレアには見えなかったのだから。

リュクレーヌの目が見開く。

そんなはずはない。自分にも、フランにも見えているんだ。と。

だとしたらもう一人、聞いてみるしかない。


「ブ、ブラーチ!」


「私も、何も見えなかったが……」


ブラーチにも見えていない。

だとすれば、アマラの魂が見えているのはリュクレーヌとフランだけという事になる。


「どういう……事なんだ……」


なぜ二人だけに魂が見えるのか?

新たな謎を残したまま、事件は幕を閉じた。

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