追跡リベンジ
オスカーは女性と腕を組んでどこかへ向かおうとしていた。
「ほらみろ、腕まで組んでいる。もしかしたら」
「浮気をしているのは、オスカーさんの方だった?」
フランの投げかけた可能性に、リュクレーヌは人差し指を指して、
「正解」
と告げた。
こうなったら、やる事は一つ、尾行だ。
「夕方のリベンジだ。今度こそ追うぞ」
「……うん!」
今度こそ、逃がさない。
リュクレーヌとフランは慎重に二人の男女を追った。
ゆっくり、静かに、バレないように追う。
幸いにも、彼らはリュクレーヌ達に気づいていない。
そのまま、二人は建物へと入っていった。
「この家に入っていったな」
建物は家だった。
だが、その家はどこか見覚えがあるものだ。
「ここは……オスカーさんの家?」
「だな」
「なんでこんなところに」
夕方に、ミーナが出てきた自宅だ。
知らない女性と入っていったが、いったい何のために?
フランにも、リュクレーヌにも見当がつかない。
今は、まだ。
「って、リュクレーヌどこ行くの?」
リュクレーヌは家の周りをうろつく、窓を逐一チェックするように見て。
「電気がつくところが無いか探している」
フランは「電気?」とおうむ返しをした。
「流石に家に入る訳にはいかないだろ?けど、電気がついたら……」
「あっ!二人はその部屋に居る事になる!」
「そういうこと」
家に入らずとも、電気が付いた部屋があれば、二人の居場所は分かる。
窓から様子を伺うだけでも彼らが何をしているかは分かる。
「あ、あの部屋!電気、付いた」
「行くぞ」
丁度、電気が付く部屋を見つける。
二人は部屋の方へと近づいた。
電気が付いた窓には、カーテンがかかっていた、二人の正確な姿までは分からない。
二つの人影を確認する事はできた。
「カーテンしてあるから影しか見えないけど……」
「何をしているかは分かる。上手くいけば証拠が掴めるぞ」
窓から様子を伺う。
向こうの声は分からない。
つまり、こちらの声も、よほど大声を出さない限り聞こえない。
こっそりと影を見つめていた。
そして、次の瞬間。二つの影が重なる。
「あっ……」
「……!」
恐らく、接吻を交わしたのだろう。
ハッキリとした影だけで分かる
「キスしたね……アレは、確実に……あ、押し倒した」
「っ……!?」
縦に長かった影は横に長くなる。
そして、がさごそと蠢いた。
声が聞こえる。
高い、女性の声だ。
窓があっても聞こえるという事はそれなりに大きなボリュームなのだろう。
間違いなく、事が始まっている。
フランは冷静に状況を判断し、リュクレーヌは顔を隠す様に両手で覆う。
「リュクレーヌ?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます