後味最悪のバッドエンド

戦闘は、フラン優勢で一方的とも言える状況だった。


だが、とどめを指す前に聞いておかなければ。

何故、害虫駆除に協力したのか?そしてこのマスカは誰なのか?フランは訪ねる。


「復讐のつもりで、こんな事を?」

「こんな事?あぁ……そうだよ!」


罪人への復讐を望むデルの記憶を見たマスカは自信を持って答える。


「そんな……復讐なんて」

「何も生まないっていうのか?」

「っ……!」


マスカは笑う。

その隙にフランの指を糸のようなもので操り、引き金を引いた。


「え」


放たれた弾丸は、マスカを貫く。自ら死んでやる。そんな、つもりで。

 



なんとも後味の悪い幕切れ。

まだ謎も残されている。事務所に戻り、フランはソファに座って、「終わった……」とつぶやいた。

それを聞き逃さなかったリュクレーヌは何やら考えている。


「いや、これで終わりじゃない……」

「え?あのマスカが犯人だったんじゃ……」


「いや、それは違う」


自害したマスカが連続殺人犯。この事件はケリがついたはずだと思っていたのに。


「忘れたのか?依頼書か届いたって事はそれを受け取った真犯人が居るってことだ。」

「あ……」


「そして、この事件に関わっているマスカは……もう一体いる」


「もう一体?そんな、どうやって……」


マスカが二体も。たしかに、一体しか現れないなんて保証はない。ただ、こんなに近い距離に二体

偶然にしてはできすぎている。

そんなことできるのか?フランには、分からなかった。


「デルの魂と……恐らく今回の事件の被害者のうちの誰かの魂が入れ替わっている状態なんだ。」


「じゃあ、今倒したマスカはその誰かの魂が入っているの?」

「そういう事だ。死体の損壊がひどかったのも、一人分の死体を奪ってもバレないようにしたんだろう」


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