三人の捜査官と強盗殺人事件

「ラルファ刑事!」

すると、ラルファに若い男が声をかける。先ほどのデルと同じ捜査官の服を纏った二人組だった。


一人はツリ目で体格のいいガラの悪い男。

もう一人は、少し気弱そうなメガネの男。

二人を見るなり、ラルファは「なんだ、お前達」と声をかける


「何か手がかりは見つかったのか」

「いえ、まだ何も……あの、そちらの方は」

「事件の関係者ですか?」


二人は警察でもない人間が現場にいる事に怪訝な眼差しをリュクレーヌに向ける。


「いや、奴は俺が雇った探偵だ」

「名探偵」


「名」を付け忘れているぞと言わんばかりにリュクレーヌは訂正する。


「探偵……とりあえず協力してくれるという事ですか?」

「まぁ、そんなところ。よろしく」


リュクレーヌは手を差し伸べて握手を求めた。捜査官の二人はその手を取る

「はぁ、よろしくお願いします。俺はシフと言います。」

「捜査のご協力、感謝します。僕はタブです。よろしくお願いします」


一応、礼は言えるようだ。これも、上司が立派だからか?リュクレーヌはニヤリとした表情をラルファの方に向けた。


「随分とできた後輩だな。ラルファさんよ」

「うちの部下は優秀だからな」


部下を褒められて嫌な気がしない上司は居ない。

ラルファはまんざらでもない顔を見せた。


「ところで、デルを見ませんでしたか?」

「デル……あぁ、さっきの童顔の捜査官か!彼ならうちの助手をトイレに連れて行ったよ」


思い出すのに数秒、間があったが、フランを案内してくれた彼らと同じ捜査官の事だと思い出す。


「あぁ、そうでしたか」

「ったく。あいつ、頭いいけどたまに一人で行動したりするからなぁ」

「まぁまぁ、人助けなんだしさ。」


やれやれといった態度で腕組をするシフに、まぁまぁと宥めるタブ。

軽口を叩いたりできるのだろう。和やかな様子に彼らの関係性が伺える。


「仲が良いんだな」

「はい。俺たち三人とも同期で」

「へぇ、なんかいいな、そういうの」


シフ、タブ、そしてデル。この三人は同期の警察官でよく共に行動し、仲がいいという。


だからこそ、お互いの事はよく分かっている。


「初めて三人で協力して捜査した事件があったんです」

「あぁ、あれな。強盗殺人事件。犯人は俺達が捕まえられたけど、死刑は免れてもう出所してるんだよな……」

「ほう……?」


強盗殺人。一つ目の事件の被害者は強盗殺人犯だった。これが偶然なのかそれとも……


もしかして今回の事件とつながりがあるかもしれない、とリュクレーヌは詳細を聞き出す。


「その話、詳しく……」


その時だった。


「いやああああああああっ!!」

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