はじめての依頼

リュクレーヌとフランは顔を見合わせて、目を見開いた。

ぶわっ、と湧き上がる高揚感に、二人は歓喜の声をあげる。


「依頼だ!フラン!依頼だぞ!!ついに!依頼が来た!」

「やったね!いや、今までなかったのもどうかと思うんだけどね!」


ルーナ探偵事務所に初めての依頼。これを喜ばずにいられるだろうか。

はしゃぐ二人にラルファは「んんっ」と咳払いをした。

それに、ハッとして、リュクレーヌは机に両肘をつき、両手を組み喜びを隠しきれていない口元を隠す。


「で、依頼は何でしょう?」

「依頼を聞かせてください」


フランも「依頼」というワードを強調して興味津々で聞く。


あぁ、そうだ依頼人ならばお茶を淹れなきゃ。と、フランはキッチンの方へ向かった。

依頼一つで、こうも慌ただしい探偵事務所にラルファは「大丈夫なのか?」と一抹の不安を抱えながらも依頼を口にする。


「……その、今、警察の方でとある連続殺人事件を追っている」

「連続殺人?それは警察の管轄では?」


確かに、オペラ座の事件のように殺人事件にマスカが関わる事もある。

ただ、最初からマスカの殺戮によるものであればアマラ軍が動いているはずである。

逆に、ただの殺人事件だとしたら、警察が動く。探偵の出番が何故あるのだろうか?


「その……やり口がどうも……」

「どうも?」


ラルファは口ごもりながら言う。まるで、認めたくはない事実を言うように。


「マスカの……仕業じゃないか。と」

「!!」


リュクレーヌの嬉しそうな表情が一変、真剣なものになった。

紅茶を淹れ直し、三つ目のティーカップを持ってきたフランも驚く。


「その事件、詳しくお聞かせください」


連続殺人事件とマスカの因果。一体何なのか?まずは、ラルファから事件の概要を聞くことにした。

 

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