最後の証拠品
家を探る。
それもしらみつぶしに。
「無いか……流石に証拠隠滅しているよな」
しかし、リュクレーヌの言う答えは見つからない。
「あーーーっ!アレが見つかれば全部分かるのにな!」
頭を掻きむしるリュクレーヌ。
フランは、部屋の角辺りに何かが光っているのを見た。
茶色い瓶。中は空だが粉のようなものが少しだけ付着している。
とりあえず拾っておく。
「あのさ、これ……何?」
拾った瓶を見せた瞬間、リュクレーヌは目を大きく見開き叫ぶ。
「それだよ!フラン!それを探していた!」
「え、何コレ……?」
リュクレーヌは瓶を受け取って、そのままブラーチに投げて渡した。
「それをブラーチに今から調べてもらうから!」
「まかせろ」
瓶をナイスキャッチで受け取ったブラーチはサムズアップを見せる。
「えぇ……さっぱり分からないんだけど……」
戸惑いながら、頭に?マークを浮かべるフランに、リュクレーヌはニヤリと笑顔を見せた。
「じゃあ、今から説明するとするか」
「えっ?」
部屋を出る。その行先は──
「俺たちは劇場に行くぞ!」
「えぇっ!?ちょっと!リュクレーヌ!」
現場となった劇場へ、急いだ。
◆
劇場には、リュクレーヌによって、劇場関係者はもちろん、フェステリアの追悼をしていたファンまでもが呼び込まれた。
「一体何なの」
「本当、何なのかしら」
「ファンまで全員集めろって……」
「何考えているんだあの探偵」
集められた人たちは客席でひそひそと私語をしている。リュクレーヌのもとに、ソワレが声をかけた。
「舞台裏のスタッフは以上です」
「わかりました。では皆さんも客席にいてください。幕が上がるまで待っていてくださいね」
「はぁ……」
「リュクレーヌさん、いったい何を……」
支配人がおろおろとした様子で問う。
その答えをリュクレーヌは大声で言った。
「犯人がわかったんです!」
「!?」
一同、目を丸くした。直後に
「それはいったい誰ですか!」
「誰がフェステリアを殺したんだ!」
と問い詰める。そんな様子にリュクレーヌは手を振る。
「まぁまぁ、そのあたりは幕が上がれば、分かりますから!待っていてください」
そう言って、リュクレーヌは、フランと幕の下りているステージ上へと隠れた。
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