最後の証拠品

家を探る。

それもしらみつぶしに。


「無いか……流石に証拠隠滅しているよな」


しかし、リュクレーヌの言う答えは見つからない。


「あーーーっ!アレが見つかれば全部分かるのにな!」


頭を掻きむしるリュクレーヌ。


フランは、部屋の角辺りに何かが光っているのを見た。

茶色い瓶。中は空だが粉のようなものが少しだけ付着している。


とりあえず拾っておく。


「あのさ、これ……何?」


拾った瓶を見せた瞬間、リュクレーヌは目を大きく見開き叫ぶ。


「それだよ!フラン!それを探していた!」

「え、何コレ……?」


リュクレーヌは瓶を受け取って、そのままブラーチに投げて渡した。


「それをブラーチに今から調べてもらうから!」

「まかせろ」


瓶をナイスキャッチで受け取ったブラーチはサムズアップを見せる。


「えぇ……さっぱり分からないんだけど……」


戸惑いながら、頭に?マークを浮かべるフランに、リュクレーヌはニヤリと笑顔を見せた。


「じゃあ、今から説明するとするか」

「えっ?」


部屋を出る。その行先は──


「俺たちは劇場に行くぞ!」

「えぇっ!?ちょっと!リュクレーヌ!」


現場となった劇場へ、急いだ。





劇場には、リュクレーヌによって、劇場関係者はもちろん、フェステリアの追悼をしていたファンまでもが呼び込まれた。


「一体何なの」

「本当、何なのかしら」

「ファンまで全員集めろって……」

「何考えているんだあの探偵」


集められた人たちは客席でひそひそと私語をしている。リュクレーヌのもとに、ソワレが声をかけた。


「舞台裏のスタッフは以上です」

「わかりました。では皆さんも客席にいてください。幕が上がるまで待っていてくださいね」

「はぁ……」

「リュクレーヌさん、いったい何を……」


支配人がおろおろとした様子で問う。

その答えをリュクレーヌは大声で言った。


「犯人がわかったんです!」

「!?」


一同、目を丸くした。直後に


「それはいったい誰ですか!」

「誰がフェステリアを殺したんだ!」


と問い詰める。そんな様子にリュクレーヌは手を振る。


「まぁまぁ、そのあたりは幕が上がれば、分かりますから!待っていてください」

そう言って、リュクレーヌは、フランと幕の下りているステージ上へと隠れた。

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