デザートはブラウニー
「ほう、美味い……」
ポトフの具材は素材の味を生き、野菜を煮込んだ金色のスープが冷え切っていた身体を温める。
ガーリックトーストはアンチョビの塩気が良い仕事をしている。
そしてサラダで箸休め。
「懐かしいわ、フランの料理」
「へぇ、クレアは食べた事あるのか」
「訓練所時代に少し。相変わらず美味しいけど、また腕上げた?」
「最近はいつも作っているからね。同居人がこの通りだから」
「おい」
この通りと示されるのは家主のリュクレーヌ。
ただ、そんな事もどうでもよくなるくらい夕飯は美味しくて、
あっという間に食べきってしまった。
「ごちそうさまでした」
食後、ようやく、リュクレーヌの報告が始まろうとする。
「そういえば、デザートもあるんだ」
「デザート!」
「先に話しておいて、出してくるから」
フランはデザートを取りに行く。リュクレーヌは咳払いをした。
今日の聞き込みの成果を話す。
「じゃあ、その間にこっちの報告。今日聞き込みをしたのは支配人とスタッフと歌手だな」
「有力な情報は?」
ブラーチが問う。
「まず、歌手のシッフルが容疑者になってしまった事だな。現場にあったナイフ、あれ、彼女のだった」
「そうだったのか……」
持ち主が分かった、としか聞いていなかった凶器。ブラーチは、誰がその持ち主だったのかを今知ることになる。
「次に、二つの雨漏り。舞台裏と舞台上で雨漏りがあった。舞台裏の方は屋根に穴が開いてたんだ。」
「舞台上は?」
「それが原因不明」
舞台上の雨漏りについては謎。照明で見えなかったせいだ。
「最後に、フェステリアのファンサービスとファンが過激ってことかな。明日はファンに聞き込みをしてみようと思う」
簡潔な報告が終ると、ちょうどいいタイミングでフランはデザートの乗った盆を持ってきた。
「はい、今日のデザートはブラウニーです!」
「おおーーー!!!うまそ!」
そして、仕事終わりの甘美を堪能した
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