深夜帯の取材にはご用心

ファントムに、取材。

昨晩彼が接触していたなら、マスカの仮面を契約する事は可能だ。


「俺はあの都市伝説のように、他人に転生したいって願ってファントムを呼び寄せた」


見事願いは届き、満月の昨夜、メリーはファントムを召喚し、取材を依頼したのだ。


「そして、仮面を買う事を条件にファントムに取材をした。高かったけどな!」


ファントムは快く取材を受けた。

メリーに仮面の契約をさせて。


「取材は大成功だよ!取材はな!」

「取材は……?」


フランは隙を見せないように、避けながら聞き返す。


「そうだ、今朝言われたよ……こんなオカルトみたいな記事、出せる訳ないってな!ふざけんな、こっちは命張って取材したのに!」


ここまでの話の一連を聞いたリュクレーヌは、「なるほど…」とつぶやく。


「それで、オカルトが許される占い師に転生して、マスカの事を伝えようとしたわけか」

「流石は名探偵だな。そうだよ、良く当たる占い師の言う事なら信じてもらえるだろ!所詮、信じる、信じないは誰が言うかで左右されるんだよ」

「……」


都市伝説を流した少年は黙り込む。確かにそうだ。と。


自分が見た事実を伝えようと必死だった。

だが、子供の言う事など誰も信じられず、今やただの都市伝説へとなり果てた。


「だが、思わぬ邪魔が居た事を思い出す、それが……」

「あぁ……お前達だよ!」


マスカに共感して隙を生んだフランの方へ巨大なペン先の攻撃が向かう。


「……っ!?フラン!」


逃げるのにワンテンポ遅れたからか、攻撃はフランへと当たった。

崩れる瓦礫の中、フランは倒れながらようやく納得した。


「そっか……マスカだって僕たちにバレたら倒されちゃうもんね」


リュクレーヌの仕事はマスカを見つける事、フランの仕事はマスカを倒すこと。


マスカは倒さなきゃ、ならない。でも──


「倒すことなんて……」


できない。そう言いかけた。


マスカは被害者だ。ファントムにそそのかされた哀れな操り人形。


同情なんてしないように戦闘中は冷酷な瞳でマスカを倒す。

アマラ軍に居た時もただただそれだけを考えていた。


情を抱けば倒せない。


それなのに、このペンのマスカは、哀れで、可哀そうで同情しそうになるようなことばかり言う。


フランは迷っていた。

倒さなきゃならない。けど、心が「嫌だ」と叫ぶ。


「フラン!」


身も心も弱りかけたその時、リュクレーヌはフランに向かって叫ぶ。

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