マジで美味かったフルコース
「いただきます」
挨拶をして料理に手を付ける。
あぁ、どれも美味しそうだ。何から食べよう?と、迷いながらもサーモンのマリネを口に運んだ。
「うっっっっま!!!!!??」
「でしょー!」
酢とオリーブオイルの絶妙なハーモニーが新鮮なサーモンと溶け合う。
玉ねぎやハーブなどがその味を引き立てて、更に幸福感が増す。
桃の生ハム巻きはシンプルだが、甘味と塩気の互いの調和が見事に合わさったアイディア料理だ。
見掛け倒しでは無かった。ちゃんと、味まで完璧だ。
「待って、本当に美味い……このスープも、肉も!」
薄緑色のポタージュは冷えた体を芯から温める。
グリンピースの青臭さは濃厚なミルクとバターの豊潤な香りに消されて、嫌気のない味だ。
ローストビーフは口に入れた瞬間肉の旨みが油と共に舌へと伝い、正に頬が蕩け落ちてしまいそうな味。
そして、肉本来の味を活かすソース。バルサミコ酢とスパイスがちょうどいいバランスで配合されていた。
「スープは明日の分も作っておいたから、朝食べよう。寒いしね」
目を輝かせて食事を摂るリュクレーヌにフランも嬉しそうだった。
リュクレーヌはあっという間にデザートへと手を伸ばす。
「このチーズケーキ、本当にトマト入ってる?」
「うん……トマト苦手だった?」
おずおずとフランは訊く。
その様子に慌ててリュクレーヌは取り繕った。
「いや!そうじゃなくて、トマトがフルーツみたいで……」
「あぁ、それはね。砂糖で煮詰めてジャムみたいにしてみたんだ」
昼間大量に買っていたトマトの半分はジャムとなり保存の効くものとなった。
華麗なる転身。ただの野菜が菓子へと変化した。
「という事は、ジャムまだあるのか?」
「うん!スコーンに塗っても美味しいかもね」
これは、朝食もその先のおやつまで楽しみになるメニューだ。
いい助手を雇ったものだ。リュクレーヌはご満悦でフランの料理を平らげた。
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