第37話 帰投
その日の夜は前日の宿に泊まる事になった。そして部屋の中でべソンは沈んでいて、黒いオーラを放っているかの如く話し掛け辛い状況であった。
「べソン、これが本来あるべき部屋割りだと思うぞ。だから諦めろ。リズのおっぱいをチュパチュパしたい気持ちは分かるが、今は諦めるんだ」
そうフォルクスもべソンとリスが二人きりで何をしているのかはもう分かっているのだ。このままでは良くないと思い、暫くの間フォルクスはべソンとリズの部屋を別ける事にする。
とは言っても隠れて会って、いちゃいちゃしているのだろうが、明らかに年頃であり、未婚の男女を二人のみで一つの部屋にしておくのはまずいと判断したからである。勿論シーラ達も残念がってはいた。しかしリーダーの決定として皆を黙らせていた。今日は2人部屋がひとつと4人部屋が一つ取れた。
ラティス、シーラ、カーラの3人は魔力を消費し過ぎた為に道中ずっと疲れていて寝ていた。
その為早々に寝ていたりする。フォルクスが様子を見に行った時にはリズが対応して、3人共寝ているしもう落ち着いているから大丈夫だよと言われ、フォルクスも休む事になった。
部屋を出る前にふと質問をした
「なあリズ、シーラ達俺の事何か言ってないか?」
「らしくないね。どうしたんだい?好きか嫌いか?が気になるのかい?」
「まあ、それもあるけどさ、シーラ達には聞けないのだけど、俺ってほぼ間違いなく異世界から来てるじゃないか、その、多分常識が違うから知らない間に傷つけてないか心配なんだ」
「はあ、小さい事を気にする男だね。大丈夫だよ。そちら方面ではやらかしてないから。ただな、まだシーラとしかキスをしてないだろ。早くカーラとラティスにもキスをしてやれよ」
「驚いたな。シーラはそんな事を言っているのか。まあ、それなんだよ。3又掛けるのって男として最低だろ」
「フォル、あんた何バカな事を言ってるんだい?あんたは3人共コマせば良いんだよ。あいつらもそれを望んてんだからな。」
「はあ?何いってんだよ。あかんやろそれは。確かに何か私達3人が娶って貰えば良いような事を言っていたがどういう事だ?」
「はあ、そんな事も知らないのかい?強い男は妻を複数持つんだよ。魔物との戦いや不毛な戦争で多くの男が死んでてさ、結婚適齢期での男女比は1対3位って言われてるんだぞ。だから生き残ってる男が最低3人は娶らないと子供の数が減るんだよ。だから強い男は取り合いなんだよ。あたいもそうだよ。強い子を残したいからべソンに惚れたんだ」
「まだピンとこないけど、何となく分かったよ。ただ、俺のいた所は一夫一婦制で、例えば僕が二人の女性と同時に関係を持っていたら、社会的に抹殺されるんだ。シーラ達は人として好きだけど、流石に出逢って一週間程度ではまだ愛する所までは気持ちが行っていないよ。お互いをまだ良く知らないしさ。それにもし首輪がなくて今抱くとしたら、ただ単に性欲を満たすだけで愛情からじゃないと思うんだ。なんとなく思うのは、彼女達にはちゃんと向き合わなきゃって、大切にしなきゃいけないレディーだって思うんだ。だからさ、僕には時間が必要なんだ。僕がこの世界に馴染むまでは。」
「ふーん。よくわからない世界から来たんだな。まあ、気長に見守るよ。ただな、アイツラを泣かせたらあたいが許さないからね」
「分かったよ。それはそれとして、もしべソンが別の女も彼女にしたらリズはどうするんだ?」
「どうもしないよ。丈夫な子を生めそうなら良し!ナヨナヨしてる弱っちい奴なら認めないだけだよ。」
「そっか。参考になったよ。そっか。そっか。シーラ達は俺の事好いてくれているのか。うん、そうだな、彼女等に釣り合う位になれるように俺も頑張らなくちゃな。疲れている所を邪魔したな。おやすみ。それと、べソンと乳繰り合う時は周りをちゃんと見とけよ。皆に見られてるぞ」
そうやって真っ赤になり、皆に見られていた事を知らなかったリズはオロオロしていて、フォルクスはくすくすと笑いながら自室に引き上げ、まもなく就寝した。その後は特に何もなく、翌日の旅路も特に何も問題がなかった。
首都の一つ前の街まで来ていた。そこで馬を4頭と荷馬車を一台買う事にした。
まずはオークの死体を売り、その金で馬を買っていたりする。リズとべソン、フォルクスが馬車から出る時に一体ずつオークの死体を持って売り捌いていたものだから特に怪しまれる事もなかった。馬を買った後は馬車の御者をカーラとシーラにお願いし、残りの4人は馬に乗っていた。そして首都に着く少し前に籔に入り、荷馬車を2台出した。盗賊から奪ったったりした荷馬車である。そこに魔物の死体やサイクロプスの死体を並べ、荷馬車に馬を繋いだ。べソンとリズ、ラティスとフォルクスが御者をして3台の馬車で街に入る予定だ。
16時位だろうか予定より1日早く街に戻ったが、その頃には3人共すっかり回復しており、ほぼ本調子に戻っていた。
街に入る時に門番から怪訝そうな目で見られたが、そもそも冒険者カード C ランク以上の者は割とすんなり入れるのだが。しかもB ランクのべソンがいた為に問題なく入れて貰えた。たまたま背の高い3人は目立ち、門番のおっちゃんが覚えていた。
「無事に帰ってきたんだな。お前達一体何を殺ったんだ?」
「えっと、サイクロプスだよ」
フォルクスが言うと
「おい、嘘だろう?おいおい」
と言い驚いていると、一緒にいた同僚が
「ほほう、見せてみろ。こりゃあたまげた!」
大きな声で驚いていると、おっちゃんが守衛にい者をみんな呼び立てて
「おい見てみろよ。ぼうず共がデカ物を持ってきたぞ。俺はサイクロプスなんて初めて見たぞ」
そんな感じで品評会みたいになってしまった。
「引き留めてしまって悪かったな。お前達まだ子供なのに凄いな」
その後はすんなり解放されたが、トラブルと言えばこういうようなしょうもないトラブル?だけだった。これはトラブルのうちに入らないという話もあるが。
街に入った後はそのままギルドに行く事にした。
そろそろ混み出す時間ではあったが、なんとかすんなりユリアの所に並び、10分位で家にユリアの前に立つ事ができた
「ユリアさん、ただいま帰りました」
「あらフォル君!無事に帰ってきたのね!」
「はい!これは依頼達成書です」
「おっ!偉い偉い、ちゃんとサインを貰ってきたんだね」
「それと魔石の抜き取りをしたいので場所をお借りしたいのと、魔物の死体を買い取って貰いたいんですよ」
「オッケー!買い取るのは良いけど、何を持って帰ってきたの?」
「うん。サイクロプスを持って来たんだ。それとオークの上位種と、大量のオークかな」
「サイクロプスを持ってきたんだ。大変だったんじゃないの?」
「まあ、うん、そうですね。詳しくはまた後で。今馬車3台で来てるんです」
「その量は大変ね。私も解体所のおじさんに話を着けて一緒に査定をしに行くから、先に行っててね」
そうやってクローズの看板を立てて、他の受付嬢に
「ごめんね!大物の買取に行って来るね」
そうやって受付を離れる。そして後ろにいる誰かと話をし、ユリアの代わりに一人の受付見習いの少女が受付に向かっていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます