第32話   いじられ

それから暫くするとシーラが足が痺れたからと膝枕がカーラに変わった。


カーラはお疲れ様と一言だけ言い、フォルクスのおでこにそっとキスをしてきた。



昨日は色々な事が有り過ぎた為、そう、頭を働かせ過ぎてフォルクスは疲れていた。カーラとシーラが入れ替わった後、ふと横を見るとやはりシーラの下着が見えてしまった。フォルクスはわざとらしくボソッと


「シーラのは白か」


「白って?」


「白って下着だよ。清楚な下着がほら見えているぞ!」


「もうバカ!あんたなんか知らない」


慌てて隠していた。わざと見せていたのかと思ったのだが、どうやら本当にガードが緩かっただけのようであった。それでもカーラは



「フォルクスさんはやはり紳士ですね。そのまま何も言わずに眺める事もできたのに、きちんと彼女に、私の時も伝えるのですものね」


「あはははは。そんないいもんじゃないよ。そのさ、見ていたいけど、正直目のやり場に困ってさ。確かに目の保養にはなったよ。ふふふふふ」


「こ、こんな事位でフォルクスさんの癒やしになるのでしたらいつでもどうぞ」


「じゃあ目の保養をしたくなったらカーラに頼もうかな」


シーラも負けじと


「いいわよ!パンツ位。ほら変態さんに見せてあげるわよ。ほらちゃんと見て癒やされなさいよ」


と言ってチラチラ見せてくる。フォルクスはため息をつきながら


「コラはしたないぞ。そうやって見せてきたら男のロマンが無いだろ!」


「何よその男のロマンというのは?」


「胸の谷間もそうだが、見えそうで見えないギリギリな位がいいんだよな。簡単に見えてしまうとモチベーションが下がるんだよ。手の届かない物になんとか手が届かないか!とあと少しで見える!後ちょっとだ!とか、着替えをこっそり覗く、それが男のロマンというもんなんだ。下着もそうだよ。さっきみたいにわざとじゃなくて、本当に無防備な状態で見える!そういうのが男は燃えるんだ」


「何バカな事を言ってんのよ。しかも熱く語ってんじゃないわよ。これだから男ってやつは。全くもう!」


と言ってはいるが、隣でラティスがクスクス笑っていた。シーラはラティスにも突っ掛かっていった。


「な、何が面白いのよ?」


「いえいえ、シーラさんが良い子だなって思ったんですよ」


「何よその良い子って?」


「シーラさんはフォルクスさんの事が大好きなのですね。私も負けられないですわね」


「な、ななななななによ。こんな奴の事なんて何とも思ってないわよ」


「でもね、もし18歳までにお金を用意できなかったら、フォルクス様に抱かれるのですよ」


「わ、わ、分かっているわよ。あんな変態親父達に比べたらフォルクスの方が百万倍マシなんだから。その、フォルクスだったら、まあ、そのいいかな。あいつってむっつりスケベだけど、女には優しいじゃない。その、顔も好みだしって恥かしい事言わせないでよ。あんたはどうなのよ?あんたも同じなのよ!」


「はい。私の全てはフォルクス様に捧げるつもりですから、問題ありませんわ」


そんな会話が飛んでいた。いつの間にやら女性3人でフォルクスの話になっていて、フォルクスは恥ずかしくてとてもじゃないが聞いていられなかった。からかわれているのだろうと。皆が皆自分の事を好いているわけじゃない。そうやって赤くなるのを見て楽しんでいるのだろうと、乙女心が分からないフォルクスである。



そうしてある程度時間が経つと、今度はラティスの膝枕になった。2歳しか違わないとはいえ、やはり女性としての体の成熟が二人より進んでいる。とても言える話ではないが、物理的にはラティスの膝枕が1番心地良かった。カーラもシーラも心地良いのは良いのだが、肉というか脂肪が少なかったからか、柔らかさに少し物足りなさを感じていたのだ。


そして何より上を向いた時に見える双丘の存在感が違う。ラティスの場合は絶景であったのだ。ただ残念なのは、席を変わった後のカーラとシーラのガードはきちっとされている事であった。特にシーラはわざと見えないギリギリまでスカートをたくし上げるが、見えないのだ。必死に見ようとするフォルクスを見てくすくす笑いながら、フォルクスが見えないというような事をぼそっと言っているのを聞いて満足している。


そんな感じであったが、時折うっかりのフリをしてパンチラをサービスしてあげて、フォルクスを掌の上でいじっているシーラである。


そしてラティスはフォルクスが触れられたくなかった話題を出した


「先程は鳥の糞から私を守ってくれてありがとうございます。フォルクス様のクリーン魔法で綺麗にはなるのでしょうけれども、もしあのまま胸に落ちてしまっていたら物凄く気持ち悪かったと思うんですよ。本当に助りました」


「うん。ラティスが鳥の糞まみれにならなくて良かったよ」


引きつった笑みを浮かべていた。感謝されてはいるが結果論であって、実際の所は本当に胸を触りに行ったのであった。たまたま胸を触った直後に鳥の糞がフォルクスの手に着いた、ただそれだけなのだ。


だがしかし、あたかも糞が落ちてくるのを見計らったとしか思えない絶妙なタイミングでラティスの胸をガードした、そんなふうにしか見えないタイミングであったのだ。


ついつい誘惑に勝てず、ラティスの胸を触りに行ってしまっていたので、触った時にハッとなり、一瞬やらかしたと焦ったが何とかごまかしきったと思い、糞の事に対してフォルクスからは何も言わなかった。胸を触ったと軽蔑されるのが怖くて黙っていたのだが、結果的に鳥の糞にフォルクスは感謝をしていたのである。おそらくあの場で普通に触っていて、あまつさえ揉んでしまったら軽蔑され、口を聞いてくれなくなったであろうと思い、冷や汗が出てくるのであった。


また、これも結果的な事であるが、フォルクスは何も言わずに黙々と冷静に鳥の糞からラティスを守り、何事もなかったかのようにしていた。ありがたく思え的な事も言わずに守ってくれた紳士様なのだとなり、ラティスのフォルクスへの想いは一気に加速していった。フォルクスの知らぬ間にフォルクスの為なら何でもする、そんなふうな思いをラティスが持つようになっていたのであった。

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