第31話  旅路

 お昼を食べ終わった後、十分に馬を休ませてから旅を再開した。休憩後の御者はべソンーリズ組に交代している。


 フォルクスはと言うと、とりあえずシーラと一緒に座っていた。そして馬車が動き始めるとシーラに頭を掴まれ、グイっと引っ張られ、膝というか、その細く柔らかな太腿に押し付けられた。フォルクスがえっ?と情けない声を上げると


「疲れたでしょうから横になるといいわ。馬車の中だからそんなに広くないから、横になろうと思うと誰かがこうやって膝枕するしかないでしょ。美少女の膝枕なんだからありがたく思いなさいよ。だめ!こっち向いちゃ駄目よ!カーラ達の方に向きなさいよ」


 フォルクスは抱き抱えられた時に真上を向いていたのだが、膝の近くに頭がある為、横を向くとシーラの下着が見えてしまう。その為慌てたシーラは、フォルクスの顔をカーラ達の方へ咄嗟に向けたのだ。しかし膝枕の高さで横を向いたものだから、カーラとラティスの下着がモロに見えてしまったのだ。


 フォルクスはぼそっという


「シーラ、グッジョブだぜ!それとな2人共前ぐらい隠せよ。丸見えだよ。それとも僕に見せてくれていたのかい?うふ!」


 そうすると二人共ときゃっという声を上げ、慌てて前を隠した。やはりすかさずシーラが文句をつけてきた。


「全くもってあんたは本当にスケベね。それはまあ良いとして、どうなのよ?」


「どうなのよ?って何の事だ?」


「どうって私の膝枕の感想に決まっているでしょ!他に何があるって言うのよ?」


「うん、そうだね。流石は美少女の膝枕だね。物凄く心地良いよ。膝枕ありがとうな。それとさ、素敵な御御足をナデナデしたいな!って事で撫でても良いよね!」


 シーラの足をナデナデしだすと、シーラはキャっと短い悲鳴をあげた。フォルクスは調子に乗ってしまったのだ。


「な、な、何を勝手に触っているのよ!」


「うん!シーラの脚は柔らかいけれども、細くて無駄な肉が無いんだね。さすが美少女!滑らかな脚だね。うん、癒やされるよ!」


 上を向くとシーラが真っ赤になっているのが分かる。やはり胸は多少は膨らんではいるが、胸の膨らみといっても僅かでしかない。カーラもそうだ。多少胸の膨らみはあるが、あくまでも成長中である。シーラがAカップ位だろうか。カーラは Bカップに少し届かない。そんな感じだ。それでも先程まで脚をナデナデしていたフォルクスの頭を撫でながらシーラは言う


「上を向いちゃ駄目よ。あっちを向いていなきゃ駄目なんだから」


 そんなシーラに対してフォルクスは畳み掛ける


「たまにはいいだろ?シーラのその可愛い顔を見ていたいんだ。横を向いたら見えないだろ?なあ、良いだろ。好きな女の子の顔を見ちゃ駄目か?」


「な、何、バカな事を言っているのよ」


「まあ良いじゃないか。俺は美少女の膝枕を堪能させて貰うからさ。ふう」


「もう、仕方がないんだから。なんか本当に疲れているみたいだし、まあ、いいわよ。但し、エッチな事をしたら許さないんだからね。それよりもあんたって今まで結構大変な目に合ってたんでしょ。疲れた戦士の癒やしになるのは美少女の役目なんだから。泣きたかったら泣けばよいのよ。夜うなされていたわよ。皆死んじゃったって。私は死なないから、そのね、ギュッとするくらいなら私がするから、夜もう泣かなくても良いのよ。私に甘えなさいよ。辛いならせめて私の胸で泣くか打ち明けなさいよ。あんたは無理をしているでしょ?見ていてこっちが辛いんだから」


 フォルクスがいきなり泣き出したのだ。シーラは最初意味が分からなかったが、自分でいうのもなんだが普段の自分には似合わないような優しい言葉を掛けていた。少しは心に響いたかな?と思っていると、いきなりスカートに顔を埋めてきたのだ


「ちょ、ちょっとあんた何やってるのよ。変な事しちゃやだ。ちょっとそこ息を吹き掛けない。い、いやん、エッチ!何やってるのよ、バカバカバカ。ああん、そこはダメ!」


 と頭をポカポカと叩いていたが、どうも股間に熱を感じるのだ。フォルクスが息を吹き掛けており、ハァハァとなっている為に股間に対して生温かさを感じていた。変な感覚だった。ただ、カーラとラティスは早々にフォルクスが泣いているのだと気が付いていた為に、止めるでもなくそっと見守っていた。


 ただ、シーラは自分に対してエッチな事をしてきている訳ではないとようやくフォルクスの異変に気が付いたのだ。微妙な所に息が掛かっていて変な気分になってきたが、何故か股間が濡れてきたのだ!。自分の中からおしっことか何かが出てきて股間が濡れてきたのではなく、どうやらフォルクスが泣いていて、その涙だと分かったのだ。


 シーラはフォルクスがお股にスリスリしているのではなく、泣いている事に気が付いたのだ。そしてハッとなり、頭を撫でて自分のおまたに押し付けている形な為、匂わないかな?とか、おしっこをした後にクリーンを掛けて貰ったかなーと気になって仕方がなかった。


 フォルクスとラティスが御者をしている時に、鳴き声が聞こえたような気がするが、今は思えばあの時の呻き声は、泣いていたのだと理解した。


 今まで何かしらの重圧に耐えてきたのであろう。優しい言葉を掛けると急に泣き出してしまったのだ。今までこの人に一体何があったのだろうかと、確かに夜中に誰かの名前を言って魘されていたのは知っている。やさしくされる事に慣れていない感じだった。


 それはともかく、シーラは恥ずかしかった。自分のおまたにフォルクスの顔があるのだ。そして泣いているとはいえ、お股が濡れてきて生暖かいのだ。やがてカーラもラティスもフォルクスを抱いたり、背中を擦って行ったが、ようやく落ち着いた。


「取り乱してしまったようでごめんね。ごめんね」


 そう言って、シーラのスカートを涙と嗚咽の涎で汚してしまった為、そっとクリーンを掛けていた。


 暫くして完全にフォルクスが落ち着いたようで、ずっとシーラにありがとうありがとうと言っており、シーラは感謝をされまくっていた。シーラも珍しく


「うん、いいのよ。泣きたい事もあるよね、それは誰にでもあるし、私なら大丈夫。受け入れるからね。ただ、ちょっとおまたで泣かれたのは恥ずかしかったけど、次はせめてお腹にしてね。」


「あっ、そのごめん。悪かった」


 シーラはおろおろしているフォルクスが愛おしくて仕方がなかった。そう、またもやキュンとなってしまったのであった。


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