第21話 弁当の驚異
皆驚き、シーラもえっ?と呟いていた。
「先ずは説明が終わった後に最初に集まった講義場に移り、そこに弁当が置かれているので食べるように」
皆が騒ぎ出したので静まるのを待っていた
「これより1チームにつき6名のチームに分かれチームを作って貰います。受講者の人数は150名ですから計算上は25チームが出来ます。よく考えてチームを作るように。条件は異性混合チームにする事のみ。男子だけ、女子だけのチームは認めません。今から弁当を完食した者からこの場に戻り、チームの申請を可能とする。期限は今より3時間後とし、例え番号1番や150番の者でも6名が揃わなければ二次試験に進めない事とする。その後、二次試験の課題を発表します。卒業まで今から作るチームで過ごす事になり、成績は全てチームとしての成績であり、この後の二次試験はチームで挑んで貰います。上位チーム15チームを合格とします。個人成績は合否に関係ないので、短時間にはなりますがよくよく見極めてチームを作るように。それと寮の部屋は1チーム1部屋になります。卒業までチーム内で女性が犯された場合は、チームの男子全員が退学となります。権力を振りかざしたり、お金の力で体を求めるのも同じ扱いになります。これは定期的に嘘を見抜く魔道具にて確認しますから隠す事は出来ません。これは学校の中の事に限りません。初夜権も同じです。在学中に初夜権を行使するのは許しません」
ざわめきが激しかった。
そしてついてくるように指示をされ皆、講義場に入って行く。好きな場所に座るように言われ、弁当を完食しないと外に出てはならない。荷物を全て確認するのと、床等に捨てるのも禁止。捨てずに全て食べたかを嘘が分かる魔道具に手をかざし、捨てずに食べたと宣言をするとの事だ。捨てたら失格だという。
各々席に座って行くが、基本的に元々の知り合いや知人が固まっている。中には7人以上の者もいてチーム分けの話し合いがなされるのだろうと言う感じだ。
そして問題は弁当だ。1.5人前分はあり、女子にはきつい量だ。それはつまり例外は居るのだろうが、女子の弁当を男子がある程度食べてあげる必要がある。それに男女混合もハードルが高い。女子の比率が高ければ弁当が食べきれなくなる可能性があまりにも高くなるのだ。
とりあえずフォルクス達は5人集まっていたが、先ずは弁当を食べ終わろうとなった。リズは余力があるから全部食べるといい、食べきれないカーラの分はフォルクスが、シーラの分はべソンが食べ、更に1名の子の分を何とかしなければならない。フォルクスが外で数えた魔法学校の入学二次試験参加者は6対4で女子の方が多かったので、厳しくなるチームがかなり出そうだ。この弁当イベントを含め試験のようだった。
フォルクスは目を付けていた子を見ると、孤立しているのが分かった。シーラは早々に食べられる範囲である半分弱と少しだけ食べ、青髪の子の所に向かっていった。カーラも早々にギブアップをし、男二人でパクパクと食べていた。
男子が多い所は何とかなっていいるが、基本的に男女比は半々が多く、既にチームが組めないと思う者がチラホラといた。
男女混合となる助平な男子心としては、女子の比率をなるべく増やしたいものなのだ。この世界のように男尊女卑の世界では尚更だ。そう、諸事情が有るとは言え、一夫多妻の世界でもある。
シーラが向かった目的の子は必死になり食べていた。先ずは食べきらないとチームに入れてすら貰えないからだろう。
シーラは早速勧誘を始めたが、そこに辿り着く前に宮廷魔術師の息子に声を掛けられていたが無視をしていた。暫く様子を見ているとチラチラとフォルクス達を見ていて驚いていた。
彼女の番号は42番だったので、例年通りだと不合格なのに上位者、それも個人1位と3位と実力者がいる所から誘われているのだから当たり前だ。シーラが涙する彼女を抱き寄せ、ハンカチで涙を拭っていた。
すると落ち着いたようで、食べている最中の弁当を持って二人がフォルクスの所に向かってきた。
そしてフォルクスの所に6人が集まりチームが完成したのを見て、周りから嘆きのため息が出ていた。
フォルクスはその女性が持っていた弁当を半ば奪うように強引に受け取り、半分程残ったのをペロリと食べた。まだ行けるとベソンも言っていたが、戻って来たシーラが
「フォルクス、貴方の読み通りよ。彼女のも明日売られ、権利をその日に行使される所だったわ」
「うん。そんな事だろうなとは思ったんだよな。えっと、僕じゃなくて俺がリーダーのフォルクスです。宜しくお願いしますね。権利の事はシーラから聞いたよね?それと魔力を測らせて貰うよ」
フォルクスは手を差し出し、彼女と握手をした。そして魔力を流し、流し返させ握手を終わる。
「確かに魔力は少ないけど、やはり精霊の加護と魔法は防壁か。カーラちょっとラティスを見てあげて」
カーラも彼女と握手をした。
「フォルクスさんよりは声が聞こえていますが、まだ姿は見ていない筈ですわね。まだまだ序の口ですわ。ラティスさんは土ですわね。宜しくお願い致します。水の精霊使いのカーラです」
「あっ、あのう、何故フォルクス様とカーラ様は私の名前をご存知なのですか?」
「うん。握手をした時に分かったとしか言えないな」
「そ、それとあの事は本当なのですか?」
「うん。外で事情を聞こうか。その前にチーム結成の記念に少し稼いでくるよ。ヘソン行けるよな?」
「二人分なら」
シーラ達は半ば呆れていたが、リズも手を上げ
「アタイは半分なら行けるよ。まだ満腹じゃないよ」
「よし、決まりだ。ヘソンが二人分で、俺とリズが各自一人分かな。リズは無理するなよ。ぽっこりしたお腹を見たらヘソンが悲しむからな」
「分かっているよ。ちゃんと後で追加の腹筋をするさ。べソンはあたいのお腹を褒めてくれるからね」
いきなりフォルクスが壇上に行き
「先着4名の女子の弁当を半分食べてやるぞ。但し一人に付き金貨20枚だ。それも即金。さあどうだ?男のは40枚な」
「ほんとか?」
「頼もうぜ」
「私食べれないわ」
「うわ、そんな金持ってないよ」
等々聞こえてきたが、早速動いた者が居た。女子5人のチームから2人分が来たのだ。シーラの隣りにいたエルフもその中にいた。
「マジで食べられるのかよ?」
「問題ない。チームのを食べてまだ腹八分目だからな」
「金だけ取って食べれませんでしたじゃ許さないぞ」
「そんなしょぼい事はしないさ。お金を見せてそこに置くと良いよ。食べきれなかったら返すから」
そうやってあっという間に4人の分を食べ尽くし、金貨100枚を稼いでいた。ちなみに男の分がが一つ有ったのだ。
お腹を擦っていると、小太りで醜い宮廷魔術師の息子が一人の女子を連れてきて
「お前らまだ行けるだろ?こいつのも食えよ」
「もう無理だよ。流石に俺達も腹が一杯できついよ」
「いくらなら食べる?」
「あんた達が今持っているお金の全てでだ」
「ざけんな。40枚だ!それで食えよ」
「だから腹一杯って言っているでしょ!もうきついんですよ」
「俺は国にも顔が効くんだよ!」
「ガタガタ言ってるんじゃないわよ。玉潰されたく無かったら黙んな!二人共こんな奴放っておいて行くよ」
「くそ、覚えていろよ。おい、誰か金貨40枚で食ってくれ」
「ははは。いきなり敵になったな。にしてもお腹きつかったな。」
「ああ、親がクズなら子もクズだな」
そうして皆の所に戻るのであった。
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