第22話 ラティスの境遇
皆の所に戻るとシーラが
「あ、あのね、私とカーラ、ラティスの3人で何とか一人分位なら食べられるかもだから、私達も食べようか?」
フォルクスはシーラのお腹を触り
「俺はぽっちゃりしているシーラは見たくないぞ。ほらよ」
フォルクスはヘソンと自分に金貨10枚を、4人に金貨20枚を配分した。
「ちょっと何よこれ?」
「言ったろ?チームとして稼いで来るって」
「違うの。配分がおかしいじゃないの」
「そうか?なあべソン、配分っておかしいか?」
「いや、適切だと思うぞ。何もおかしくない」
「そんな、受け取れないよ」
「黙って受け取るんだ。女の子の方が何かと入り用だろ?まあ、綺麗な服を着て俺達の目を楽しませる為に余分に配分しているから、俺達の為だからさ。1人頭金貨10枚に女子加算分さ!」
「まったくもう。でもありがとうね。じゃあ有り難く受け取るわね」
「あの、えっと、そんな頂けません。私、入れて貰っただけでも有り難いのに。これは体で払えと言う事ですよね?」
「いや、飛躍し過ぎだよ。ここじゃなんだからさ、外で詳しく話そうよ」
そうして最初に外に向かうのはフォルクス達のチームであった。
フォルクス達は他の受験者に先立って外に出る事にした。
早々にチームを結成した者達が出てきたものだから、講師達は驚いていた。
練習場に有った椅子を借りて6人でぐるっと輪を作って話をする事になった。
試験中は遠目であった為に、スタイルはぼんやりとしか分からなかったし、食事の時はそれどころではなかったが、改めてラティスの様子をフォルクス達は確認をしていた。
やはり15歳位だろうか、まだあどけなさが残るが高校1年生位かなとは思うが物凄い美少女で、何より胸が大きい。歩くとたぷんたぷんと。思わずゴクリとするレベルだ。
人族で身長165 cm 位だ。
この世界の女性の中では大きい方であり、かなり細くスタイルは物凄く良い。出る所が出ているのもあるが、無駄な肉がない。ふわっとした生地の紫のスカートにブラウス。その上にちょっとした上着を羽織っているような感じだ。
スカートはこの世界の人達は短いスカートを好むのか?と思う位に短く、ちょっと動けば下着が見えそうな位だ。青髪のストレートで碧眼、キリッとした顔立ちの男装が似合いそうな美人だ。髪はショートカットだ。
ラティスはフォルクスの正面に座ったのだが、ガードが甘かった為に、薄い緑にリボンが着いた清楚な下着がフォルクスからはチラチラと見えていたのだが、フォルクスはそれとなく前を隠すような仕草をする。するとラティスは真っ赤になってスカートを直し、デルタゾーンを隠していた。
ラティスに今までの事を聞く事になったのだが、まず一番心配しているであろう事から聞いた。
「さっきのシーラの話だと、君の初夜権も明日売りに出されてしまうという事だが間違いないの?」
泣くのを我慢しており、頷くのが精一杯だ。
「分かったよ。もう聞いたかも分からないけれども、ここにいるカーラ、リズ、シーラも明日初夜権が売りに出されてしまうんだ。そこでさ、俺とべソンとで3人の初夜権を買い取り、18歳と指定可能範囲の中での最長の間、権利の執行を猶予するようにするんだ。それは聞いている?」
うんと頷く。
「いきなり会ったその日に僕を信用しろというのは無理だとは思うけれども、彼女達と同じ条件でラティスの初夜権を俺が買い取ろうと思うのだけれどもどうだろうか?お金は手持ちが心許なくなるけれども、学校のお金と、それまでのお金位はまだ大丈夫。それとね、シーラから君の初夜権を誰かが買うと、恐らくその日のうちに初夜権を行使されてしまうと聞いたのだけれども、どういう事だろうか?今は14歳だよね?」
「はい。実は明日が私の15歳の誕生日なのです。初夜権は15歳になるまで行使が出来ない事になっております。ですのでおそらく私は明日15歳になる為、権利を買われたその日のうちに犯されてしまうのかと思います。というよりもそのままその場でだと思います。出来れば初めては好いている方と過ごしたかったな。」
両隣でラティスはカーラとシーラ から背中を擦られていたりして慰められている。
「3年か、3年の間に君が俺から買い戻す事が出来ると良いのだけれども。勿論そのサポートを俺達はするつもりだよ」
ラティスは少し落ち着いてから
「本当にい良いのですか?一応18歳まで執行猶予が可能だとは聞いた事はありますが、そういう事を他の条件無しに設定する人がいるというのは聞いた事がありません。シーラさんは権利が行使できる15歳になる迄に買い戻しが出来なければ、半年間の性奴隷になる条件をあいつから提示されたと聞いています。購入額で買い戻しを条件にとはいえ、普通ならまず無理ですよね。フォルクス様が権利を買われるのに何故直ぐに私を抱かないのでしょうか?」
フォルクスはラティスをじっと見つめて
「ラティス、君を抱きたいか抱きたくないかで言えば、勿論男としては君のような綺麗な女性とその、エッチな事はしたいよ。でもさ、それはお互いが好き合っていて、恋愛をして気持ちが一つになってから抱きたいんであって、所有権を買って無理に相手を辱めようというのとはまた違うんだ。無理やり嫌がる女性を抱きたいとは思えないし、抱けないよ。俺はこの初夜権という制度や政略結婚などが許せないんだ。それと今から言う事は第三者に言わないで欲しい」
ラティスが頷くのを確認したので話を続ける。
「おそらく僕はいや俺は異世界から来た者なんだ。記憶を失くしているから多分なのだけれどね。俺は他の文字は書けるんだ。因みに異世界から来た者はどういう扱いになっているのかは正直よく分からないけれども、何かしらの目的を持って他の世界から来ている筈なんだ。今は記憶を失くしているのでよく分からないけれども、僕は君に対して誓うよ。ラティスが18歳になる時に万が一買い戻せなかった時以外、初夜権の行使はしないと。流石に初夜権を期限一杯の段階で行使しないと俺自身とラティスが死んでしまうし、俺も死にたくないから抱かざるを得なくはなる。僕はこういう形じゃなくてラティスをきちんとした一人の女性として向き合い、もし縁があればその上で抱きたいんだ。カーラにしてもシーラにしてもそうだ。という訳で四年半有った買い戻しの期間を3年としなきゃいけなくなった。これから土日が殆ど無くなるぞ」
シーラが突っ込んできた
「土日って何よ?それに、さっきからあんた無理してるでしょ?アンタは無理して格好つけて俺なんて言わなくて、僕の方が似合ってるわよ」
「そ、そうか・・・すまない。休日の事だよ。向こうの世界では土日というのは基本的に学校が休みなんだ。この魔法学校にも長期の休みというのが有るんだろ?休みの日などに魔物を狩ったり、ダンジョンとかが有ればそういう所を探索して、パーティーとしてお金を稼ぐんだ。それとラティスはどうする?僕達のチームに入るかい?」
「本当に宜しいのですか?私にはよく分かりません。その、フォルクスさん達のメリットが本当に分からないのです。この首輪に同情して手を差し伸べてくれたのかな?としか。私の方は本当に良い事尽くめなので、土下座をしてでもお願いしたいです」
「うん。実は昨日ね、例年だとあと一人はチームに加えられるよね!となり、もしも良さそうな人がいれば一人加えようという話になったんだ。それで誰にするかを試験の時に可能なら見極めようとして、さっきからずっと皆が魔法を放つ様を見て誰にするかを決めていたんだ。そしてラティス、君のあの結界を見てこの人だ!と直感したんだ。それと首輪をしているというのも大きかったけどもね。気が変わらないうちに取り敢えずチーム登録をしておこうか!」
ラティスが泣いて頷くので、フォルクスはつい抱きしめて頭を撫でて、ハンカチを渡した。やはりでかい。やはり年頃の男の子だから、胸の感触が堪らない。
そして早々にチーム登録をしたが、勿論一番最初に登録をするチームとなったのであった。
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