第3話 優しい罰
リリムはお店へと向かう。
シックスバリュー。地域密着型のお店だ。
店内に入って渡されたくしゃくしゃの油付きのメモ用紙を見て
『チッ。素魔法(スマホ)があるからアプリでお使いお願いしろよな。あのアナログ豚野郎~』
ため息交じりにブツブツと言った。
店内は白を基調とした雰囲気で商品はジャンルごとに整理整頓されている。防犯カメラはない。必要がないからだ。
理由は犯罪が数十年間一件もない。みんな優しいから。助け合って、時には我慢して、譲り合って生きている。警察もいなくなった。世界は統一されたのだ。
白ジャガイモ、白醤油、白い豚肉…
リリムはメモ用紙に書かれた商品を手に取りかごに次々と投げ捨てていく。
店内を我が物顔で歩いて見て回っていると
『…やだ、あの人メモ用紙を持って買い物してる…』
『今時アナログだなんてねぇ。素魔法(スマホ)持ってないのかしら?』
遠くから商品棚越しに二人のクソが私を差別するような目で見ている。
クソA
『メモ用紙ってさぁ古いよわねぇ。まだいたんだ。この時代に』
クソB
『あなた教えてあげたら?あの子に素魔法(スマホ)の使い方を?』
クソA
『嫌ぁだ!話かけるだけでも無理よぉ』
クソB
『そうよね~、ウフッフッフ…』
遠くだから聞こえてないと思ったのかゲラゲラと喋っている。
プツッ
何か引っ張って切れたような感じの音が頭からした。
聞くために立ち止まって商品を眺めていたフリをしていたリリムは一瞬にして二人組の女に近づいた。
クソA
クソB
『ヒェッ?!』
と目の前に現れたリリムに上半身をのけ反らせた。
『何か私にご用ですか?』
目は笑顔で瞳は二人を睨み付けてるリリム。格好は仁王立ちに近かった。
『い、いぇ…メモ用紙でお買い物なんてす、素敵だなぁておお思ってね。ね!』
『そそそそうよ!立派、立派!』
間を置きそれを聞いたリリムはポケットから素魔法(スマホ)を取り出し
『わたし、素魔法(スマホ)が苦手で…使い方教えて頂けないでしょうか?』
素魔法(スマホ)を顔に近づけニッコリと作り笑いをした。
『?!そ、そそそその素魔法(スマホ)は!』
『あなたっ!し、し、白い素魔法(スマホ)なの?!』
二人は両手を合わせて仰天した。
『教えて頂けませんか?』
一歩二人に踏み込むリリム。
『ねぇ教えてよ?』
低いトーンで良い放つリリム。
『ご、ごめんなさい!私知らなくって!すみません、すみません、すみません!!』
『おおお許し下さいー!い、命だけはお助けを!!』
二人は涙声に発言すると同時に土下座をし、動悸、息切れ、汗だくになりながら謝罪した。
周囲が風を受けた木みたいにざわつく。リリムは暫くして満面の笑みで
『じぁあさ、誠意を見せて?』
と土下座している二人を覗き込むように上半身を左右に揺らしながら言うリリム。体を揺さぶる度に頭には鬼の角のような二つの寝癖がフリフリと動く。
『はい!分かりました!!何をすればよろしいでしょうか?!』
それを聞いたリリムは履いていたスニーカーの片方を脱ぎ、黒色靴下も片方脱いだ。素肌が露(あらわ)になった左足を二人の頭に向け
『足、舐・め・て♪』
二人は呆然とした表情でリリムの顔を見上げた。
『は、はいー!!』
その後二人は躊躇もなくリリムの足に手を添えてむしゃぶりついた。
リリムは顔面が裂けそうな笑みで
『臭ぇ~だろ?どうだ?あ?』
二人はただただリリムの足を舐め回す。足の下と二人の顔下には唾液が滴り落ちていた。
満足したのか
『はい、終わりぃ~。ありがとさん』
二人のから一方的に足を引き離し靴下、スニーカーを履き始めた。
この異常な光景でも周囲は何も出来きなかった。
リリムが履き終えて周囲を見渡し
『どなたか私の足を舐めたい人いませんか?』
と言い放った。すると
『自分も!』
『私も是非とも!!』
『ぼ、ぼ、ボクも!』
その場にいたお客も店員も一斉にリリムに攻め言った。
リリムの足に群がる人々を見てリリムは
『今度はくるぶしを舐めてもらおうかなぁ~』
そう見下しながら言い放った。
お店の入り口前
『おばあちゃん!今日のご飯は何かなぁ!?』
『何だろうねぇ…。お母さんにお聞き』
『今日はステーキよ。久しぶりにおばあちゃんの退院祝いにね』
『ヤッター!じぁあボクが今日は車椅子押してあげるね♪』
『ありがとねぇ~良い子やねぇ』
会話に家族は花を咲かせながら店内に入っていった。
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