第4話 スレ違い
リリムは帰宅した。
『帰りました』
……反応がない。
一応スニーカーのつま先を玄関に向け丁寧に揃えリビングに向かう。
当りを見回したリリムは
『…チッ!』
強烈な舌打ちを放った。ドタドタと母親の部屋に行く。扉を思いきり開くとベットのシーツが乱れていた。コーヒーをこぼしたのかシーツにシミが出来ている。
床には丸まったティッシュが散らかっていた。扉を思いきり開いた反動からかティッシュがボールのように転がった。
リビングに再度戻る。机に目をやるとチラシの裏に書かれた置き手紙があった。
『お買い物お疲れ様。数日間出かけます。ご飯は適当に作って食べて。アップデート頑張って』
母親が書いたであろう手紙があった。
『ッチ!第2ラウンドってことかよ!』
机を軽く叩いた。頭を下げ両手を机について
『フゥ~~』
自分を落ち着かせるように長い息を吹くように吐いた。
暫くしてリリムは棚からカップ麺を取り出し机にあったポットに目をやった。
蓋を開けかやく、粉末スープを入れポットのお湯を注ぐ。
『クソ!熱ぃな、これ!』
注いでいるとリリムのメガネが曇りはじめた。
かけたままメガネを手の甲で軽く拭く。カップ麺にお湯を注ぎ終えると椅子の上に胡座(あぐら)をかいた。
1分もしない内にカップ麺を食べ始める。と同時にリモコンを手に取りテレビをつけた。
『……続いてのニュースです。速報です。』
テレビにはニュース番組が流れている。
『シックスバリューウキヨ支店で起こった出来事で……』
両肘を付いて食べていたリリム箸を止め、横目でテレビを見る。
『無礼な蛮行を働いたとして二人の女はお店を出禁となりました。この場を借りて被害にあわれた女性に謝罪をしたいと思います。お詫び申し上げます』
テレビに映っているアナウンサーが頭を下げる。
『…ケッ』
それを聞いたリリムは止めていた箸を動かし始めた。
リリムの持つ白い素魔法(スマホ)…階級とはまた別の意味を持つ。
暫く咀嚼(そしゃく)音だけが家中に響き渡る。
汁までカップ麺を飲み干したリリム。一息入れ
『明日はアップデート行くかなぁ。今日は一発ヤるかぁ~』
一言いうと二階のリビングへと上がっていった。
窓からオレンジ色に膨張した夕日が家の中を覗く。
そして取り残されたカップ麺にはハエが三匹集っていた。
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