第6話
私は今、フランク王国と名乗っている地域のとある街に来ている。
町役場に赴き一時的に仕事をする許可を貰う為だ。
私はこの3ヶ月、集落を見つけては治癒術師の真似事をして日銭を稼いでいた。
種も仕掛けもあるのだけれどハルナさん達の技術力はこの星の人々には奇跡の様に映るらしい。
旅を初めた当初はハルナさん本体の処に居座っていた人達がゾロゾロ付いてきて迷惑していたのだけれど、旅費を稼ぐ為に集落で重篤者や手足を失っていた人なんかを正常状態に戻した人達まで一緒にゾロゾロ付いて来て本当に迷惑だった。
解散させた後も、私を専属の治療師として望む人が大勢いた。
旅行中だし、なる気もないので全てお断りしたけど。
中には強引に引き込もうとしてくる方々もいやがりましたが、力ずくでお断りした。
そんな事を繰り返していたら、認知度が上がったのか最近はだいぶ過ごしやすくなった。
「こんにちは。ノラの治療師なのですが、此方の治療院はどちらにございますか?」
「は?治療院ですか?」
「はい。此方の街で持て余している患者さんが居ればお力になれると思いまして」
「はあ。でしたらハルナ星教会に行かれると宜しいかと。治療などは彼処が取り仕切っているので」
「あ。ここもそうなんですか。はあー。分かりました、ありがとうございます」
「いえ」
毎回思うのだが、なんでだろう?
私に関する記憶メモリーでは星神の巫女は争いに介入する事はあれど、癒しとかは与えてない筈なのに治療と言えばハルナ星教会なんだよね?
謎だ。
「ハルナさん何か知ってる?」
『いや?何も』
「そうだよね。本当に不思議」
『ふむ。居着いたこ奴等の根幹に神=治療による奇跡とかが根付いおるのかもしれんのう』
「そんなもんなのかなー?」
『まあ、唯の情報集積予測にすぎんがの。ガハハ』
「でも、そのせいで毎回ゾロゾロ付いてくる人増えて本当に迷惑だったよ」
『マーシャは人気者じゃからのう』
「なんでだろう。本当にトホホだよ」
『そんな事よりほれ。着いたようじゃぞ』
「そんな事って……うへえ。じゃあ行ってくるよ」
『おお、よう稼いでくるがよい』
「へぇー。……こんにちはごめんください」
「はーい。ようこそハルナ星教会アガルタ支部へ。この度はどのようなご要件で?
教義、治療、罪の許しはそれぞれ1000スターズになります。建物内の観覧でしたら500スターズでございます」
「あー。私、治療師なので此方で持て余している患者さんのお力になれるかと思いまして」
「あら?そうなんですの?」
すっごいジロジロ見られるなぁ。
まあ、いつもの事だけど。
「まあ、いいですわ。此方へどうぞ」
「あー。はい」
てくてくと後を付いていく。
「そちらが治療室になりますわ」
「あ、どうもです」
ふと、疑問だったあの事を聞いてみた。
「そういえば、何故教会は治療院を兼任しているのですか?」
「はあ?貴女、潜りの治療師ですの?そんなの星神の巫女様が治療の奇跡を行っておられるからに決まっているじゃない!」
「へ?でも、それ始めたのってつい最近ですよね?」
「貴女本当に何も知らないのね。やれやれだわ。
いい事、巫女様は争いが生じる度に介入され、巻き込まれた街や村の上を通り治療の光を降り注いで去っていかれたのよ。
争う者には天罰を下し、力無き者に活力を与え、弱き者に希望を与えて行かれたのよ。
ハルナ星教の教えにも書かれている事よ!治療師なら皆知っている事。貴女何故知らないの!」
「マジで!……どうゆう事ハルナさん」
『ふむ。自己修復プログラムにバグがあったのかのう。もしくは修復過多で漏れだしたかじゃのう。後で確認しておくわい』
「よろしく」
「何ブツブツ言っておりますの?」
すっごい怪訝な顔された。
「まあ、いいですわ。貴女の腕前確認させて頂きますわ。言っておきますけれど巫女様の顔に泥を塗る様な腕でしたら即退場頂きますからね!」
「え?はあ。まあ、よろしく」
その返事にすっごい憮然とした顔をされた。
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