8.わんぱく姫と盗賊

はい、そんな訳で王都にやってきました。畑は手の空いている弟、妹たちにお願い


しました。代わりにお土産の約束(指定)されましたが。


およそ馬車で3日の距離なのでのんびり行こうかと思いました。


が、「おにーちゃん、ぼくにおまかせー!」とラグナが大きくなりました。


何でも一時的に大人の姿にかわれるそうで、魔力を消費して一定時間変化できるそうで


王都まで数時間で着いてしまいました、咄嗟にシールドを貼っていたので風圧で飛ばされ


ることはありませんでしたが、出来れば帰りのラグナタクシーは遠慮したいです。


ついでに王都の門前まで行ったので突如フェンリル出現に衛兵さんたちが緊張状態となり


顔見知りの将軍が来るまで軟禁されました。


「はっはっは、相変わらずだなクロードは。去年の誘拐事件にも大活躍だったしな。」


とサラリと過去の話を持ち出すのは王国騎士団団長のライオネルさん。


父上の学園時代の友人だそうで私も幼い頃からの交流はあります。


誘拐事件に関しては機会があればまた今度で。


さて、ライオネルさんと共に馬車で王宮までやってきました。


今回は姫様の護衛なので直接離宮(王家プライベート)に向かいます、ここでライオネル


さんとは別れました。


離宮の応接室に通されしばし待つと聞き慣れた足音が近づいてきます。


「くーろーどーさーまー!!おまちしていましたわー!!!」


と叫びながらダイビングしてきた姫様、おいおいはしたないやろ。侍女頭も般若の顔に


なってるわ。


「クロード様、最近はお茶会にもなかなか来てくれないし私寂しかったのですよ?」


すいません、姫様。最近色々と忙しかったもので。


「むぅ、姫様じゃなくて、ソフィアとお呼びください。」とプクーと膨れるソフィア。


かわゆい。同い年なのに妹と接している気分になるな。


ところでソフィア護衛依頼の件だけど出発は明日で大丈夫かい?


「はい、儀式の場までに前日までに向かえば大丈夫ですので。ところでクロード様、


そこの可愛らしいわんちゃんは…?」


「こんにちは、ひめさまー。ぼくふぇんりるのらぐなだよー。」


「…かわいいモフモフですわ。ラグナちゃん、抱っこしてもいいですか?」


「うん、いいよー。」「わーい、モフモフー♡」


女性は基本もふもふに弱いですね、昔とあるクエストで一緒になった女魔法使いが


幼い頃に犬にイタズラしてお尻を噛まれてそれ依頼苦手になったぐらいしか獣苦手


女子は記憶にないですが。


そんな感じでしばし入れてもらったお茶でくつろぐのでした。


そろそろ夕方になる頃馴染みの宿屋(すでに予約済み)に向かおうとしたらソフィアが


「クロード様とラグナちゃんはうちにお泊りですわよね?」と無言の圧力。


「宿の方は使いの者にお願いしましたので安心してくださいませ。」と笑顔で報告


されたので止む無く言われた通りにお世話になりましょう。


たぶん予想出来るかと思いますがラグナは姫のお部屋に拉致されてしまったのは


言うまでもありませんでしたがね。


次の日…。


朝食後、王家の馬車で向かいます。私の他に護衛として騎士団第1部隊も同行します。


隊長はライオネル団長の息子さんのアーノルドさん。初見でしたが話してみると好青年。


現在彼女募集中だそうで。


目的の村までは約1日です、最近得た情報によると


これから向かう村までの間の森に盗賊が住みついたそうで、注意が必要ですが。


この世界の盗賊はだいたい人の話を聞かなかったり俺様強いと周囲に被害を及ぼした


元冒険者の集まりやら傭兵くずれなどなど。見つけ次第討伐となります。


って早速現れました。事前にギルドで手配書を確認していたので全員指名手配犯ですね。


時間も惜しいのでさっさと片付けようと馬車の外に出ると、すでにソフィアとラグナに


タコ殴りにされてました。おいおい、護衛対象。


「わるいやつはおしおきだー!」「お師匠様が行ってました、盗賊は1人いたら確実に


10人は居ると。見つけ次第お仕置きですわ!」手間が省けたような、私必要なのかな?


騎士団の方々も苦笑しています、まあいつも姫は勝手に敵に突っ込んで相手を全滅させて


いるので世間では『殲滅姫』と貴族たちには恐れられていますが。


民衆にとってはよくお城を抜け出して街中を歩き回ってるらしく最近冒険者登録もした


そうでたいそう人気があるそうな。


騎士団一同盗賊を縛りこのまま今日の目的の宿場まで連行となります。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る