#823

ローズが正面から飛び込んできたブレイクの剣をピックアップ·ブレードで受けると、すかさずブライダルの青龍刀が側面から振り落とされる。


それを装甲アーマードした腕で強引に振り払うと、ソウルミューのブラスターを撃たれ、さらにはオーラを纏った拳を振り上げ、エンポリも襲い掛かってきた。


「フン、マシーナリーウイルスの適合者を舐めるなよ」


だが、ローズは四方からの攻撃を電撃を放って吹き飛ばす。


ブレイク、エンポリは後退させられると、先に吹き飛ばされたブライダルが言う。


「あらら、やっぱ強いね。さすがは適合率でいえばアンさんよりも上だけのことはあるわ~」


「感心してる場合かよ。幸い、あっちのビッチ社長は手を出して来ねぇんだ。ここはローズ·テネシーグレッチから先に仕留めるぞ」


「ビッチ社長とは見たまんまだね。仮にもブー坊君と同じハザードクラスの死の商人デスマーチャントなんだよ。もうちょいひねったあだ名付けてあげようよぉ」


ブレイクはブライダルを無視して、再びローズへと飛び出して行った。


嵐のような激しい斬撃が連続で打たれるが、ローズは片手で持ったブレードでさばいていく。


「やはり妹と同じだな。クリアの剣によく似ている」


「そうかよッ!」


軽口を叩くローズにブレイクはさらに斬撃を速めたが、それでもローズにはすべて受け流されていた。


「なにやってんだよブー坊ッ!」


「いいねエンポリ君。よし、私らも行くよッ!」


ブレイクに続き、エンポリとブライダルもローズへと襲い掛かるが。


ブレイクの剣も、エンポリの拳も、ブライダルの青龍刀もすべてローズのブレードと機械の腕に受け流されてしまう。


「援護するッ! お前らッ一気にたたみ掛けろッ!」


そこへソウルミューがブラスターハンドガンを発射。


しかし、それでもローズに当たらなかった。


向かってくる四人の攻撃を見事なまでのバランス感覚で受け、避けていく。


「どうした? お前たちの覚悟とはこんなものなのか? その程度で世界を救うなど笑わせるな」


そうは言っているが、三人の攻撃を受けながらもローズは思う。


強い、こいつらは恐ろしく強い。


ブレイク·ベルサウンドの強さは予想していたが、青龍刀の少女もイード·レイヴェンスクロフトの弟子の強さも、ローズの想像をはるかに超えていた。


そして、後ろにいるソウルミューという青年――。


特別な力などないが、正確な射撃と仲間への的確な指示は大したものだ。


表情にも動きにも見せてはいなかったが、ローズはブレイクたちの連携れんけいやその力に内心では驚いていた。


「あぁ~意外とやるわねあの子ら。このままじゃヤバいかも」


それを傍で見ていたフォクシーレディがつぶやいていると、彼女の後ろから二つの影が現れた。


「ヤバいのではない。もう終わるんだよ」


フォクシーレディが振り返ると、そこにはアン·テネシーグレッチとシン·レイヴェンスクロフトが立っていた。


アンは持っていたインストガンの先に付いたナイフをフォクシーレディへと向け、言葉を続ける。


「エレクトロハーモニー社の女社長……フォクシーレディだな?」


「そういうあなたたちは、ローズのお姉さんと教祖様の息子さんね。まさかもう全部ドローンを倒しちゃったわけ?」


「こちらの援軍が到着したんだよ。ドローンは連中に任せて俺たちはお前らのところへ来たんだ」


シンがそう答えると、フォクシーレディは腰をクネクネと揺らして困り顔を見せる。


「これはちょっと予想外だったわね。でも、ほんのちょっとだけだから問題ないけど」


そして、すぐに不敵な笑みへとその顔が変わった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る