#822

「クリアの息子か……。クリーンといい、どうやら私は友人の子と戦う運命にあるようだ」


「クリーンを殺ったのはテメェなんだってな、ローズ·テネシーグレッチ」


ブレイクはそう言葉を返すと、鞘から大太刀おおたちを抜いた。


すべての神具が一つとなった無限刀インフィニティソードが、まるで生まれたての命のような輝きを放つ。


「その剣……。初めて見るが、何故かよく知っている感じがする」


「んなこたどうでもいいだろうが。さっさとやろうぜ」


ブレイクが無限刀インフィニティソードを構えると、ブライダルも青龍刀をローズとフォクシーレディへと向ける。


そして、ソウルミューも両手に握った二丁のブラスターハンドガンの銃口を二人へ向けた。


ローズは顔をしかめると、半分長髪半分スキンヘッドの青年――エンポリに声をかける。


「お前は、その法衣を見るに永遠なる破滅エターナル ルーインの信者だな。何故お前はこいつらに手を貸すんだ? 世界を滅ぼそうとしていた宗教団体のメンバーが、まさか今さら善人にでもなったとでもいうのか?」


「ふざけたこというなよ。俺は今でもこの世界が嫌いだし、全部ぶっ壊したいと思ってる。それに、こいつらの仲間には俺の兄ちゃんのかたきがいるんだ」


「私の言い方がおかしかったか? それでは答えになっていないぞ。兄の仇がいながら何故そいつらに協力する?」


「俺と兄ちゃんにはな。イード様の弟子になってから教えてもらったことで、一番大事だと思っていることがある」


「また答えになっていないが?」


「口で説明したくないときは、オーラで語るッ!」


そう答えたエンポリは、両手で大きく円を描いた。


そして、回した両手をガッチリと握り込んで身構えると、彼に拳が凄まじいオーラまとい始める。


「それがお前の答えか……。いいだろう、相手になってやる」


そう言ったローズの腕に、白い鎧甲冑のような装甲がおおい始めた。


その機械化した腕――装甲アーマードされた部分からはバチバチと電撃が放たれ始めていた。


そして、さらに腰に帯びていたピックアップ·ブレードの手に取り、柄のスイッチを入れて白銀色の光の刃を出現させる。


「だが、その程度の覚悟で私に勝てる思うなッ!」


声を張り上げ、臨戦態勢に入ったローズを見たフォクシーレディは、組んでいた両手を解いて嬉しそうに笑う。


「ほらほらヴィンテージのローズ·テネシーグレッチ様が怒っちゃったよあんたら。まあ、あたしは楽しんでるけどねぇ」


フォクシーレディの笑みを見たブレイクたちは、その顔をしかめると一斉に襲い掛かった。

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