#787
それから光が晴れると、今度はどこまでも続く白い空間が広がっていた。
ソウルミューが目を凝らすと、そこには一振りの刀を持った白髪の少年――ブレイク·ベルサウンドの姿が見える。
「おぉッ! ブー坊が戻ったぞッ!」
「ねぇ、だから言ったでしょう。このお話はノワールじゃなくてジュブナイルなんだってさ」
声を張り上げて喜ぶソウルミューと、そんな彼に呆れているブライダル。
ブレイクは二人を見てその口角を上げると、持っていた刀を見る。
飾り気のない
いや、日本刀というには長大だ。
刀身の長さは九十センチはあるだろうか。
戻って来たブレイクは、自分でも何故こんなものを手にしているのかわからないようだった。
そんな彼に、法衣を纏った幼女――ギブバースが近づいていく。
「それは神具が一つとなったものじゃ」
「テメェは……?」
ギブバースはブレイクの疑問に答えずに、彼の持つ刀の説明を始めた。
神具の試練――その暴走を止めたことにより、世界中にあった神具がその持ち主にブレイクを選んだ。
そして、何故それが日本刀の形をしているのかは、選ばれたブレイクの扱いやすい武器に神具が意図的に変わったとのことだった。
「その刀は、いや
「
ブレイクの言葉に、ギブバースはニッコリと微笑んだ。
そして、幼女は次第に消えていく。
「待て、待ってくれッ! テメェは……テメェは誰なんだよッ!?」
「そこの二人にも感謝しておくのじゃぞ、ブー坊……。もし、お前一人で試練を受けていたら、今受けた試練よりももっと厳しいものが待っていたはずじゃ」
「おいッ! 答えやがれッ! テメェは一体ッ!?」
消えていくギブバースは、微笑みを崩さずに呟いた。
自分はクリア·ベルサウンドの友人であると。
「さらじゃブー坊……。世界を救え」
「名前はッ! テメェの名前を教えろよッ!」
「ギブバース……。それがわしの名じゃ。最後に名を訊いてくれて……ありがとうなぁ……」
ギブバースが消えると、ブレイクたちがいた白い空間が歪んでいく。
ソウルミューが大慌てし、そんな彼を見たブライダルはのほほんと笑っていた。
そして、ブレイクは――。
「ギブバース……。お袋のダチか……。テメェの……いや、アンタの名は忘れねぇ……」
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