#779
ギブバースがそう呟く少し前――。
ブレイクの目の前には、彼の妹クリーン·ベルサウンドが立っていた。
どうしてだが再び両目が見えるようになっていたブレイクは、死んだはずの妹の姿に驚愕していたが、すぐに冷静さを取り戻す。
「なるほどな……こいつが神具の試練ってヤツか」
ブレイクがフンッと鼻を鳴らすと、目の前にいるクリーンが穏やかな笑みを浮かべた。
「兄様。もういいのですよ」
「……死んだ人間を使って心を折ろうなんて、クソったれなことをやりやがる」
ブレイクは、優しく語り掛けてくる妹に向かって腰に帯びた木刀を抜刀。
斬り裂かれたクリーンは、そのままぼんやりと消えていく。
「ったく、気分の悪いマネさせやがって……。まさか、これで終わりなはずねぇよな?」
振り抜いた木刀を肩に乗せ、ブレイクは周囲を見回した。
そこにはブライダルやソウルミューの姿はなく、ただ終わりのない薄暗い空間が広がっているだけだった。
だが、次第にその空間が次第に彼のよく知っている光景へと変わっていく。
「こ、こいつは……?」
変化した光景は、ブレイクが滅ぼした故郷の風景だった。
彼はこの状況の変化に戸惑い、、自分の気持ちを落ち着かせようとしていると――。
「ビャッハハ! フギャアアアハッハアアっ! 皆殺しだッ! 全員殺しやるよぉぉぉッ!」
真っ黒な
驚くブレイクだったが、逃げている人間たちを助けようと、幼い自分に向かっていく。
しかし、木刀を振り抜いて止めようとしたが、幼い自分には当たらない。
何度やっても木刀は空を切り、幼い自分に触れることすらできない。
「やめろ……」
ブレイクは、幼い自分が故郷の住民たち虐殺をするのを、見てることしかできない。
幼いブレイクは、まるで顔が焼け
返り血でその真っ白な髪が赤く染まっていく。
「フハハッ! 死ねッ!」
「やめろ……」
「どいつもこいつも死んじまえッ!」
「やめろ……やめろやめろやめろッ! やめてくれぇぇぇッ!」
その場に
だが、幼い自分は止まらずに赤い雨を降らせ続ける。
すると、幼い自分に斬り裂かれた住民たちが立ちあがって、ブレイクのことを囲み始めた。
どうだ、満足か。
今までの
ため込んでいた怒りを。
すべて吐き出して人を殺しまくるのは。
――と、頭を斬られて剥き出しになった脳みそや、腹からこぼれる内臓を垂らしながらブレイクへと問いかける。
「ちげぇッ! ちげぇんだッ! オレは……オレはずっと……ずっとぉぉぉッ!」
ブレイクは両目を思いっきり閉じて両耳を抑えた。
死体となった住民たちの声は鳴りやまず、彼に問い続けていた。
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