#718

咆哮ほうこうしたジャズを見て、レジーナは笑みを浮かべていた。


そして、それから彼女は深呼吸すると、ガンブレードを構え直す。


両手で柄を握ったシンプルな構えだ。


「……気が変わった。貴様には私の剣から出る想いを感じさせてやる」


「何度でも来なさいッ! 全部受け止めやるッ!」


「生まれて初めての真剣勝負が、まさかこのような形になるとはな……。では、改めて行くぞ! ジャズ·スクワイアッ!」


「来いッ! レジーナ·オルゴーッ!」


ジャズの叫びが合図となり――。


レジーナの突きが、彼女を串刺しにしようと放たれる。


しかし、ジャズはこれを見切って機械の腕で弾いた。


そこから再びレジーナの連撃が始まり、部屋の中を激しい金属音が埋め尽くしていく。


「ありゃ~もう始まっちゃってるね~」


そこへレジーナの兵隊をすべて倒したブライダルとフードの少年が現れた。


だが、二人はジャズに手を貸すことはなく、彼女たちの戦いをただ眺めている。


「……おい、ブライダル。見てないで早くあいつに手を貸せ」


二人がいる前へ飛んできたサーベイランスは、床にスタッと着地するとボケッと見ているブライダルに声をかけた。


まるでスポーツ観戦でもしているかのような彼女を見て、少し呆れているようだ。


「いいから黙って見てろよ。なかなか見応みごたえがある試合だぞ」


「何が見応えだ。いや、それよりもお前は誰だ? なぜブライダルと一緒にいる?」


サーベイランスが訊ねると、ブライダルが口を開こうとした。


だが、フードの少年が先に言葉を発する。


「なんだよ、忘れちまったのか? こっちはテメェのことを覚えてんのによぉ」


「お前は……まさかッ!?」


サーベイランスがフードの少年と話をしている横では――。


レジーナのガンブレードの刃をジャズが受け止め続けていた。


いくら打ち込んでも反撃してこないジャズを見て、レジーナは表情を歪める。


「何故だ!? 何故貴様は受けるだけなのだッ!? それとも余裕がないのかッ!?」


レジーナは強引にガンブレードを振り、ジャズを後退させる。


ジャズは機械の腕でそれを防ぎ、やはり反撃はせず守り通しのままだが、その目はレジーナから離さずにいた。


「……あたしの戦いはあなたを倒すことじゃない」


「まだそんなことを言っているのかッ!」


レジーナは再び踏み込んで距離を詰めると、ガンブレードを打ちつける。


防ぎながらも吹き飛ばされたジャズは壁に叩きつけられる。


しかし、彼女の鋭い眼光が変わることはない。


レジーナはそんなジャズを見て、思わずひるんでしまう。


攻めているのは自分なのに、まるでこちらが追い詰められている――彼女の中ではそんな思考が渦巻く。


「もういい……。反撃しないのなら終わらせてやるッ!」


レジーナが叫んだそのとき――。


ベットで眠っていた彼女の母親――リュージュ女王が身体を起こしていた。


「レジーナ……。私は……ッ!」

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