#669
沈黙を破り――。
ラムズヘッドに訊ねられたジャズは、我に返ったかのように返事をする。
「アンさんは今、メディスンさんたちがいる場所に行ってます」
ジャズはアンがヘルキャットやアリアと共に、メディスンやアミノ――。
さらにプロコラットとリーディン、そしてソウルミューの妹であるリズムや、バイオニクス共和国に住んでいた者たちを迎えに行ったことを伝えた。
それを聞いたライティングは、ヘルキャットとアリアがストリング帝国から離れたことを喜んでいた。
「そっか、彼女たちもジャズの味方なんだね」
「うん、あの二人がいなかったら……あたしはきっとローズ将軍に捕らわれていたよ……」
そしてライティングは、メディスンやヘルキャットとアリア二人とも会いたがっていた。
ジャズはそんな彼を見て思う。
なんの心配もいらなかった。
ライティングは以前の彼のままだ。
サーベイランスは、オルタナティブ·オーダーが敵になる可能性を心配していたが。
こうやって話してみると、ライティングはあのノピア·ラシックが認め、リーディンが愛した人物のままだということがわかる。
きっとサーベイランスを憎んでいるウェディングとも、ライティングを通してなら話ができるかもしれない。
ジャズはそう思うと、胸の奥が温かくなっていくのを感じていた。
大丈夫。
戦争は終わらせることができる。
きっとライティングなら、きっかけさえ作ればローズ将軍――ストリング帝国とも話し合いができる。
そして、帝国の施設に捕らえられているミックスやリーディン、ロウル·リンギング仲間たちを解放してもらい、世界が一つになって黒い光――エレメント·ガーディアンを協力して倒す。
それと同時進行で帝国の皇子と皇女――ミックスの兄アンビエンス·ストリング、姉イーキュー·ストリング姉を
ジャズが内心で安心していると、ラムズヘッドが言う。
「これで兵力の心配はなくなったね」
「えッ!?」
ジャズは思わず声がうわずってしまった。
ラムズヘッドはそんな彼女のことなど気にせずに言葉を続ける。
「ジャズ中尉たちに続いて、帝国の将校とそしてまさかアン·テネシーグレッチまでオルタナティブ·オーダーに参加してもらえるなら、こちらとしてはかなり優位に立てそうだ」
「ちょっとあなたッ!? いきなり何を言いだすんだよッ!?」
「うん? 何かおかしいことを言ったかい? 俺は当たり前のことを言ったつもりだったけど?」
「当たり前って……? 戦うのが当たり前っておかしいでしょッ!?」
ジャズが声を張り上げると、ラムズヘッドは首を傾げていた。
そして、ラムズヘッドはライティングに声をかける。
「おかしくなんかないよ。君らが加わることで、ようやくまともに帝国と戦えるじゃないか。そうだろう? ライティング?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます