#556

次から次へと現れる永遠なる破滅エターナル ルーインの信者たち。


それでもなんとか踏ん張っている連合軍。


戦いはが止む気配は全く見えず、両軍とも激しくぶつかり合っていた。


「ハァ、ハァ、さすが疲れてきましたぁ……」


「しっかりしろよ。前線のオレたちが崩れたらあっという間に街に入られちまう」


ウェディングが息を切らしながら泣き言をポツリというと、ブレイクは彼女を励ます。


ラヴヘイトはそんな二人よりも前に出て、共和国の市街へと向かおうと敵を打ち倒していた。


「おい、ウェディング。オレらもあいつに続くぞ」


「はいのはいのはい~」


ウェディングの妙な返事にブレイクが呆れていると、目の前から大きな車輪のようなものが転がって来た。


その大きな車輪のような物体は、敵味方構わず轢き殺しながら転がり、ハザードクラス三人の目の前に現れる。


「なかなか使えそうじゃないか」


その様子を見て、骸骨のように骨ばった顔をした男――エディモネッティが笑っている。


突然前線に現れたこの車輪のような物体の名は、宿命の戦車チャリオット オン デスティニーという。


ブレイクらと同じくハザードクラスに数えられるエレクトロハーモニー社の女社長――フォクシーレディが永遠なる破滅エターナル ルーインに売った無差別兵器だ。


全高四.四十メートル 全幅一.二〇メートル重量約二十二トンの三人乗りの大きな車輪のような兵器である。


そのボディには金属製の刃が数えきれないほど付けられており、敵へ向かって転がっていくだけで、無差別にしかも大量に切り刻めて轢き殺せる。


「こんなもんぶった斬ってやるッ! ベルサウンド流、モード小雪スノー&小鉄スティール。乱れ雪鉄風せつてっぷうッ!」


白と黒のオーラがまるで花びらのように舞い、現れた大型車輪へ降り注ぐ。


それからブレイクの持つ二刀が輝き始め、舞い上がったオーラと一体化して大型車輪を切裂いた。


まるでナイフで切られた輪切りのパイナップルのように転がる宿命の戦車チャリオット オン デスティニーだったが、それでも次から次へと現れてはブレイクたちに襲い掛かってくる。


それでもウェディングとラヴヘイトもブレイクに続き、それ以上の進行を押さえたがあまりにも数が多く、ついには前線を突破されてしまう。


「くッ!? 味方ごと轢き殺す進軍なんてありかよ!?」


「ブレイク兄さん! ラヴヘイトさんッ! このままじゃ街にあの大きなドーナツが入っちゃいますよッ!?」


ラヴヘイトが叫び、ウェディングが二人に声をかけた。


ブレイクは再び大型車輪兵器――宿命の戦車チャリオット オン デスティニーを破壊するが、それも焼け石に水だ。


このままでは連合軍を轢き殺してバイオニクス共和国の街に侵入を許してしまうと思われたが。


「諦めるなッ!」


一人の女性の声が聞こえたと思うと、街へと回り進んでいた車輪兵器が突如制止。


その刃が付いたボディには、コンクリートの地面から突き出した大地が絡みついている。


ハザードクラスの三人は声のするほう――上空を見上げる。


「ったく、もっと早くやれよ」


ブレイクが笑みを浮かべながら呟く。


三人が見上げる先には、白銀髪の女性――ミウム·グラッドストーンがジェットパックで浮きながらその手を地面に翳していた。


「あれは、もしかして合成種キメラの力……?」


それを後方から眺めていたエディモネッティは、大地を操ってみせたミウムの姿に驚愕していた。

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