#541

メゾンマルジェラが手を振ると、オーラに拘束されたメイカが宙に浮き始める。


そして呼び出していたのだろう、乗って来た大型の航空機が彼女の頭上に現れた。


メゾンマルジェラが顔を上げると、上空にあった航空機が転送装置を起動。


気を失っているメイカと共に航空機へと回収される。


「何が下がってろよッ! 捕まっちゃってるじゃないッ!」


ジャズはジェットパックを使って空へと飛び、捕まってしまったメイカを追いかける。


「ミックスッ聞こえてる!? マスターが捕まっちゃったの! すぐに上にいる航空機まで来てッ!」


《わかったッ! なんとかしてみるよ!》


ジャズはミックスに連絡をすると、そのまま動き始めた航空機へと飛び移った。


「とはいっても……俺、飛べないしなぁ」


メイカが連れ去れていたとき、ミックスはロウルと共に岩のような巨躯きょくの男――ロダルテと戦っていた。


ロダルテのオーラによる攻撃とその頑丈さに、二人掛かりでも攻めあぐいている。


「どうしたミックス! なんかあったのかッ!?」


ロウルがロダルテの拳を受け止めながら訊ねた。


ミックスはその隙を突いてロダルテの胴体を蹴り飛ばす。


「うん! なんかあの髪の短い人……メイカさんだっけ? 捕まっちゃったみたい!」


ミックスはジャズから聞いた話をロウルに伝えると、自身の神具――処女ヴァージンを呼び出す。


そして、漆黒のバイクのような形状をした処女ヴァージンまたがり、ミックスに乗るように言う。


「えッ!? でも、ヘルメットないよ俺ッ!?」


「空に交通ルールがあるかよ! いいから乗れって! 俺らもあの航空機を追うぞッ!」


ロウルが急かすと、ミックスは処女ヴァージンの後部座席に飛び乗った。


だが、そこへ蹴り飛ばされたロダルテが襲い掛かって来る。


ロダルテは処女ヴァージンを両手で掴み、ロウルたちが追いかけられないようにする。


「クソッ!? そう簡単に行かせてくれねぇかッ!」


ロウルが苦虫を嚙み潰したような顔をしたそのとき――。


「ベルサウンド流、モード小雪リトル スノー小鉄リトル スティール斬鉄雪ざんてっせつッ!」


凄まじい剣撃でロダルテが吹き飛ばされていく。


ミックスは突然現れた人物を見て嬉しそうな笑みを浮かべ、ロウルがその人物に声をかける。


「よお、久しぶりじゃねぇかよ。ブレイク」


そこには、白髪の和装姿の少年――。


ハザードクラスであるくろがねブレイク·ベルサウンドが立っていた。

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