#542

ブレイクは二本の刀――。


白い刀小雪リトル スノー黒い刀小鉄リトル スティールを両手に握り、ミックスとロウルに背を向けて立ち上がったロダルテのほうを向いた。


「メディスンから応援に行ってくれ言われて来てみりゃ、こりゃどうなってんだよ?」


「ありがとうブレイク。おかげで助かったよ」


ミックスが礼を言うと、ブレイクはチッと舌打ちをした。


戦闘中に何を言っているんだといでも言いたそうな顔だ。


「行けよおっさん。急いでんだろ? あのデカイのはオレがやる」


ブレイクはそう言うと向かってくるロダルテを飛び掛かる。


二刀と光が激しくぶつかり合う。


バイオニクス共和国の街に、まるで花火でも打ち上げられたかのように火花が舞った。


「わりぃな。話したいことはいっぱいあるが、そいつは戻って来てからにしようぜ」


ロウルがそうブレイクに声をかけると、処女ヴァージンは上昇。


メゾンマルジェラが乗っている大型航空機を追いかけるために加速していく。


「しっかり捕まってろよミックスッ!」


「スゴイやこの神具ッ! これならすぐに追いつけるね」


――ミックスがロウルと共に大型航空機を追跡し出したとき。


ジャズは一人航空機内へと侵入していた。


インストガンを構えながら足音一つ立てずに、捕まってしまったメイカを捜す。


「思ったよりも広い……。これをあの顔色の悪い女は一人で操縦しているの?」


ジャズは独り言を呟きながら、メゾンマルジェラがいると思われる操縦席へと向かおうとしていた。


その理由はジャズの予想するに、メゾンマルジェラがこの大型航空機に一人でいると思われるからだった。


ジェットパックで航空機へと近づいたジャズに対し、航空機からは一切の攻撃がない。


さらにいとも簡単に侵入を許し、内部に人の気配をまるで感じない。


そのことから、機内にはメゾンマルジェラが一人だけだと推測できる。


「あの女……。だからあたしは隠れていろって言ったのに……」


ブツブツと文句を言って進んでいたジャズは、操縦席へと辿り着く。


そこは、まるで宮殿の大広間のような空間が広がっていた。


ジャズは物陰に隠れながら様子をうかがう。


メゾンマルジェラの声が聞こえてくる。


「私はイード様にお仕えしてから、あの方の期待を裏切ったことはないの」


そう言ったメゾンマルジェラの目の前には、オーラで作った拘束に縛られたメイカの姿があった。


全身とそして、彼女の右目に埋め込まれた神具クロノスを使わせないように、連れ去られたときと同じように目にも光のかせが付けられている。


「あなたのかけた術を解くのは少々厄介そうだから、このままいたぶって自分から解くように拷問してあげる」


メゾンマルジェラは呻くメイカにそう言うと、そっと手を翳した。


光りの枷がゆっくりと彼女の身体を締め上げる。


「さあ、早く神具を渡しなさい」

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