#524
それを見たプロコラットは身構え、ブロードは再び
クリーンは壁に飾られていた槍を取り、シンはストリング兵の死体から銃剣タイプのインストガンを拾う。
「どうやらお前たちは、その“あいつ”という者の影響で惹かれ合っているのだな」
イードはその悲しそうな表情のまま四人に声をかけた。
そして、その纏っている
――イードが、息子であるシンの閉じ込められいると思われた砦に入った頃。
ストリング帝国の近くでは、一機の航空機が着陸していた。
その中には、イードのもう一人の息子――。
女性と見まごう線の細い美少年ダブ·レイヴェンスクロフトがいた。
「なあダブ、ともかくこれ以上近づくのはヤバいって!」
そう言われたダブは、左の頬に入ったトライバルな刺青を歪める。
彼にそう言ったのは、頭全体を覆う感じでバンダナを巻いたショート丈のレザージャケットを着た青年――ソウルミューだ。
ソウルミューはダブと共に、彼の兄であるシンを救出しようとしてストリング帝国へとやって来たのだが。
遠目に見た炎に包まれて燃える帝国を見て、ひとまず近くに身を潜めることを提案。
それからダブはたとえ自分一人でも兄を助けに行くと言い出し、ソウルミューはそれを必死になって止めている状況だ。
「君はここに残ってくれていい。僕は一人でいく。最初からそのつもりだったし」
「だからそんなことさせられねぇって言ってんだよ!」
こういう不毛なやり取りを続けて数十分。
ダブは一歩も引かず、ソウルミューも何度も彼を止めている。
そんな彼らを見かねて、傍にいた人物が二人に声をかけた。
「もうその辺にしておきなよ。リズムが困っちゃってるよ」
頭のてっぺんから伸ばしたポニーテールと、童顔で小柄なトランジスタグラマーな体型をした少女。
年齢は十四歳。
彼女の名ブライダル――バイオニクス共和国のとある研究所で行われた
「じゃあ、どうすんだよ!? ダブを一人で行かせらんねぇし、かといってあんなとこに行くなんて自殺行為だろ!?」
ブライダルに声を張り上げるソウルミュー。
そんな兄の姿を見た彼の妹であるリズムは、ついさっきブライダルが言ったようにオロオロと表情を曇らせてしまっていた。
「お兄ちゃん、ケンカはダメだよぉ」
リズムがそう言うと、ソウルミューは何も言い返せなくなった。
ブライダルは勝ち誇った顔をし、そんな彼に声をかける。
「そうそうケンカはダメだよ、クソ兄貴」
「お前なぁ……いい加減にそのクソ兄貴ってのやめろよッ! だいたいお前よりもオレのほうが年上なんだぞ! 年長者を敬うってことを知らねぇのか!?」
「ならデブ寸前兄貴だね」
「誰がデブ寸前だよッ!」
「あと一つタコス食ったら確実にデブでしょ? ねえリズム」
ブライダルがリズムに訊くと、彼女は首を言いづらそうに口を開く。
「たしかに、ダイエットするって言ったのに……。お兄ちゃん、また太ったもんね……」
「えッ!? マジか? みんなに言われてから、地中海式ダイエットを始めてみたんだが……」
両目を見開くソウルミューを見てリズムはため息をつき、ブライダルが笑っている。
「なあ、ダブ。オレそんなに……」
そしてソウルミューはダブに訊こうとすると、彼は航空機を出て行ってしまった。
慌てたソウルミューは、ダブを追いかけようとする。
「ああックソッ! おい、ブライダル! お前は航空機とリズムを死んでも守れ。オレはダブを手伝ってあいつの兄貴を助けてくる」
「リズムのことは任せな。まあ、死んでも守れって言われても、私は死なないけどね~」
「ともかく頼んだぞ! じゃあリズム、すぐにダブを連れて戻ってくるからな。良い子にしてろよ」
ソウルミューは置いてあった武器を手に取りながら二人にそう言うと、ダブを追って航空機を出て行った。
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