#509

ジャズはインストガンの引き金を引いて電磁波を発射。


だが、上空にいたサーベイランスは、飛んできた電磁波をその金属の腕で弾く。


そこへサーベイランスの頭上より高く飛んでいたブレイクが剣を振り落とし、地面へと叩きつける。


「オラいったぞ機械ヤロウッ!」


「ミックスだよブレイクッ!」


その下には機械化――装甲アーマードの腕を構えていたミックスが、落ちて来るサーベイランスの胴体に向かって拳を振り抜いた。


ブレイクの剣撃からミックスの追撃が決まり、サーベイランスはそのまま側にあったビルへと吹き飛ばされる。


「あいつら、ろくに話したことないの、どうしてこんなに息がピッタリになの……?」


打合せなしにコンビネーションを見せた二人のことを見て、ジャズは思う。


ミックスとブレイクが最後に会ったのはもう数か月も前だ。


その後は、全く顔を合わせていないし、当然連絡も取り合っていない。


しかも二人の関わりは戦闘だ。


まだ一緒に仲間として戦ったのなら理解もできるが。


こうも阿吽の呼吸を見せているのはどういうことだと、彼女は呆気に取られていた。


「でも、クリーンが見たら喜ぶだろうな……」


そして、ブレイクの妹であるクリーン·ベルサウンドのことを思い出すと、笑みを浮かべていた。


「おい、サイドテールッ! 歯を見せてんじゃねぇ。すぐにまた向かってくんぞ!」


「うっさい! わかってるよッ! というか髪型で呼ばないでくれるッ!」


ジャズはブレイクの呼びかけに苛立ちながらも、サーベイランスが吹き飛ばされたほうへ視線を向ける。


当然先ほどの攻撃くらいでサーベイランスを倒せるはずはない。


だが、このままミックスとブレイクが協力し合えば奴を止められる。


ジャズはそう確信していた。


だが、彼女が思うよりも現実はずっと残酷だった。


「調子に乗るなよ。お前たち如きでは私に傷一つつけられん」


ブレイクの凄まじい剣撃、ミックスの装甲アーマードの拳をまともに喰らっても――。


サーベイランスは無傷だった。


そして、彼は崩れた建物から出て来ると、一瞬で間合いを詰めてミックスへと襲い掛かる。


マシーナリーウイルスによって身体能力が向上しているミックスは、そのサーベイランスの動きに対応できていたが、やはり戦闘技術の差がここで出る。


反撃しようと手を出したミックス。


彼の動きを読んでいたサーベイランスは、その拳に合わせてカウンターのストレートを放った。


その一撃で、今度はミックスが吹き飛ばされてしまう。


「なにやってんだッ!」


ブレイクはすぐに援護に向かったが、サーベイランスは返す刀で掌から光の球をまるでバズーカの弾丸のように発射し、彼を迎撃。


剣でなんとか防ぎながらもブレイクは、激しく後退させられてしまう。


「どうした? ちょっと本気を出したらこれか? まったく、つまらんなぁ」


サーベイランスは、ミックスとブレイクの実力に拍子抜けしたようで呆れて小首を傾げるのであった。

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