#508
サーベイランスは真っ先にミックスへと掴み掛かった。
両手を伸ばしてその身体を捕らえようとしたが、ミックスは機械化させた両腕で掴み返し、サーベイランスとガッチリ組み合う。
「ほう、力比べをしたいのか? いいだろう、付き合ってやる」
だが、サーベイランスは余裕でミックスをねじ伏せた。
今にも押さえつけられてしまいそうになったとき、ブレイクが飛び込んで来る。
「テメェの相手はオレだろうがッ!」
そして、サーベイランスの身体を斬り飛ばした。
剣撃で吹き飛ばされたサーベイランスは空中で態勢を整えると、そのまま宙に浮きながらミックスとブレイクを見下ろす。
ブレイクは飛んでいるサーベイランスを睨みつけてる。
だがミックスは、隣に並んだ彼へ気さくに声をかけ出した。
「ブレイク、久しぶり! いや~アーティフィシャルタワーで見かけたんだけど声かけそびれちゃってさ」
「こんなときに何言ってやがんだ? ったく、相変わらずだな、機械ヤロウ」
「ミックスだよ! 俺の名前はミックスッ! 忘れちゃったの?」
ブレイクは顔を強張らせながら、その内心では忘れるはずがないと思っていた。
だが、そんなことを言うはずもなく。
彼が無言でいると――。
「私は同性愛を否定はしないが……。お前たち……。殺し合ったくせに仲が良過ぎるんじゃないか?」
サーベイランスが呆れながら言った。
ブレイクがさらに顔を強張らせると、何かを誤魔化すように叫ぶ。
「リーディンッ! 元カレを安全な場所を運んでやれッ! ジャガーはそのフォローを頼むッ!」
その言葉に、リーディンが叫び返す。
「元カレじゃねぇーしッ! 何度言わせんだよブレイクッ! ライティングは今カレだからッ!」
「ハハハ、まあまあ」
そして、怒り狂って声を張り上げたリーディンをライティングが宥めていた。
背負ったジェットパックを起動させてそんなリーディンとライティングのところへと移動したジャガーは、笑いながら二人に声をかける。
「ほら、急ぐぞリーディン。早く元カレを運んでやろうぜ」
「だから今カレだからッ! あんたまで言ってじゃねぇよッ!」
それから眉間に
ジャズはそんな三人を見送ると、サーベイランスと対峙しているミックスとブレイクの下へと急ぐ。
それは、電磁波放出装置――インストガンを持って、二人を援護するためだ。
当然何の能力も持たない彼女では、彼らの足手まといになるのは本人も理解している。
だが、それでも自分にできることはある。
ジャズはそう思いながら、電磁波をサーベイランスに浴びせようと構えた。
ここからなら距離がある。
ミックスとブレイクの邪魔にもならず、サーベイランスはすぐに襲っては来れない。
「好き勝手いいやがって……。そりゃいろいろ変わっちゃったとこもあるけど、あたしは今でも帝国軍人だってことを教えてやるッ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます