#504

ライティングがその義手義足のジェットで、上空にいるサーベイランスへと飛び掛かる。


リーディンは彼を援護するように、束ねたトランプカードを放つ。


そして、その間にブレイクは、一人でウェディングとラヴヘイトを担ぐと、メディスンに声をかけた。


「メディスンはそのおっさんを運んでくれ。オレはこいつらを運ぶ」


メディスンはすぐにベクターに肩を貸すと、ブレイクと共にひとまず攻撃が届かない場所まで移動した。


「よし、テメェはベクターのおっさんとウェディングとラヴヘイトをこの場から連れ出せ。一人で三人を運ぶのは骨が折れるだろうが頼んだぜ」


「……すまんな。私がこの場にいても、役に立つどころかお前たちの足を引っ張ってしまう……」


申し訳なさそうに言うメディスンは、そのまま言葉を続ける。


「傍観者とはよく言ったものだ……。サーベイランスの言っていることは的を得ているよな」


「オレはそうは思わねぇ」


そう言ったブレイクはメディスンに背を向けた。


それからさっきの言葉から重ねるように口を開く。


「オレだけじゃねぇ。トランプ女もスパイ野郎も、あいつも……たい焼き女だって皆……テメェを傍観者なんて思ってねぇよ」


「ブレイク……。ありがとう、そう言ってもらえると救われる」


「救われてねぇでさっさとこいつらを連れ出しやがれ! オレはあのクズAIをブった斬るッ!」


メディスンが礼を言うと、声を荒げたブレイクは、その身を震わせながら戦いの場へ駆けていく。


そんな彼の姿を見たメディスンは、クスッと笑うとベクターたち一人一人をこの場から連れ出そうとするのだった。


ブレイクの上空では、ライティングがサーベイランスに向かって行っていた。


下からはリーディンがトランプカードで援護している状況だ。


「遅いよブレイクッ!」


「うっせぇッ! いいからまずはあいつを空から落とすぞッ!」


リーディンが声をかけるとブレイクは大声で返し、両刃の剣を構える。


「ベルサウンド流、モード小鉄リトル スティール鉄風てっぷうッ!」


剣を振って放たれた飛ぶ斬撃がサーベイランスに命中。


そこで怯んだサーベイランスにライティングが両手の義手からビームを発射し、そのまま地面へと落とす。


「よし、リーディン! ブレイク! 一気に畳み掛けよう!」


「仕切ってんじゃねぇぞコラッ!」


落ちたサーベイランスに向かって走るブレイク。


彼の後をリーディンも追いかけ、空からライティングも降りて来る。


三人ともサーベイランスの姿を確認すると、同時に仕掛けようと飛び込んでいったが――。


「お前ら三人で私を止められると思ったのか?」


突然金色に輝いたサーベイランスの放った光によって、吹き飛ばされてしまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る