#505

倒れたブレイクとリーディンはすぐに立ち上がると、サーベイランスがライティングの首を片手で掴み、その体を宙に吊り上げている。


「まずはお前だ、ライティング。飼い主だったノピアの後を追わせてやる」


サーベイランスはもう片方の手でライティングの義手と義足を引き千切ると、四肢を失った彼に向かってその金属の腕を振り上げた。


「ライティングを離せッ!」


リーディンがそれを阻止しようと飛び掛かったが、サーベイランスに蹴りを喰らわされ側にあった建物に叩きつけられてしまった。


「リーディンッ!? クソったれがぁぁぁッ!」


次にブレイクが剣を構えて斬り掛かったが、先ほどのリーディンと同じように簡単にあしらわれてしまう。


ダメージを負いながらも、ブレイクとリーディンはなんとか身体を起こそうと、その身を震わせながら立ち上がろうとしている。


サーベイランスはそんな二人を眺めながら鼻で笑う。


奇跡人スーパーナチュラル呪いの儘リメイン カースといってもこんなものだ。誰も私を止められん。神具などすべて破壊し、世界の遺物は排除する。そして、後は平和が待っている」


「何が平和だ……」


吊り上げられながら、ライティングは口を開いた。


そして、呻きながらもサーベイランスに向かって声を荒げる。


「お前は……人間を管理しようとしたが、手に余ると排除しようとする……。そんなお前があの人に……。ノピア将軍に勝てるもんかッ!」


「馬鹿なことを言うな、ライティング。ノピア·ラシックは共和国の象徴と共に消えた。どう見ても私の勝ちだろう」


「ノピア将軍はどんな人間でも受け入れてきた! それをお前はなんだッ!? 人と違うからといって排除しているだけだろうッ!? あの人とお前じゃ役者が違うんだよッ!」


「黙れ」


「うぐッ!? うがあぁぁぁッ!」


サーベイランスはライティングの首を掴んでいる手に力を込めて締め上げた。


ライティングにはすでに両手両足――四肢はないため、どうすることもできない。


手も足も出ないとは、まさに今のライティングの状態だった。


「私がノピア·ラッシクに負けているだと? お前も今見ただろう? 奇跡人スーパーナチュラル呪いの儘リメイン カースなど物ともしない。ストリング帝国に勝利したバイオニクス共和国ですら私には勝てない。それでもまだ私がノピア·ラッシクに負けているというのか? 奴がなんだというのだッ!?」


サーベイランスはさらにライティングを締め上げていく。


だが、そこへ二方向から飛んできた電磁波がサーベイランスを襲い、そこへ一人の少年が飛び込んで来る。


「やめろぉぉぉッ!!」


機械の腕を持った少年――ミックスがサーベイランスのライティングを掴んでいる手にその機械の腕を振り落とすと、次に胴体を蹴り上げる。


その蹴りを喰らったサーベイランスは後退させられたが、特に問題なさそうにその顔を上げた。


「残りの雑魚ざこが来たか……」


見上げたサーベイランスの前には、マシーナリーウイルスの適合者ミックスと、ジャズ、ジャガーのスクワイア姉弟の姿があった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る