#503

「メディスン、無様に生き残った父親殺しの傍観者よ。お前にもわかるように説明してやろう。私は――」


「説明はもうたくさんだッ!」


ブレイクがラヴヘイトを無理矢理地面に押さえ込むと、ライティングがその両手両足へ小さな機械を取り付ける。


それが機械音を立てて手錠のような形状となり、ラヴヘイトの自由を奪う。


そして、二人は次にウェディングのほうへと向かった。


ブレイクはウェディングの身体を押さえながらサーベイランスに言う。


「オレたちが人殺しならテメェも同じだろうがッ! グダグダ説明なんてしてんじゃねぇよッ! 何を偉そうに言おうがテメェはクズだッ! 自分が正しいと勘違いしてる最悪のクズAIだッ!」


「やれやれ、他人の話も聞けんか。これだから子どもは困る。お前たちと私では目指す高みが違う。私は正しいのではない。これは平和への道だ。つまりは自然の摂理なのだ」


「何が自然の摂理だよッ!」


ブレイクに続いてリーディンが叫ぶ。


「ワタシたちを人殺し呼ばわりするのはいいとしても、ウェディングたちやこの子らを自殺に追い込んだお前は最低だッ!」


「そいつを見てみろリーディン。自らから斬り裂いた傷が再生している。それがまともな人間か?」


サーベイランスは、斬り裂いた傷口が泡を立てて治っていくウェディングを指でさし、リーディンに訊ねた。


どんなに傷つけても死なない者は人間と言えるのか?


サイコキネシス、パイロキネシス、テレポーテーションを使える者がまともな社会生活を送れると思うのか?


答えはNOだと、サーベイランスは言葉を続ける。


「お前たちもそうだ。なまじ力を得たことでそれに振り回され、我を忘れた。人を超える力を持つ者は必ず持たざる者たちに迫害され、そして他人と自分を傷つける。今私が言ったことに、この場で身に覚えのない者がいるのか?」


サーベイランスが話す中――。


ライティングは先ほどラヴヘイトを拘束したように、小さな機械でウェディングの両手両足に枷をつけた。


その表情は重く、ブレイクもリーディン二人も上空にいるサーベイランスを睨み付けるだけで何も言えないでいる。


だが、メディスンだけは違った。


彼は地面にあったインストガンを手に取ると、その口を開く。


「話はまだ続くのか? もうお前は一人だ。何を言おうがこちらの優位に変わりはない」


そして、サーベイランスにその銃口を向けた。


「賢いお前に一つだけ言っておいてやる。人と違うことは罪じゃない。それは、これまでに何度も見てきたからわかる……」


メディスンはサーベイランスの話を否定しながらも、その難しさも語り始めた。


能力の有無や才能の差は、確かに孤立や嫉妬を生むだろうと。


だがそこを諦めた時点で、サーベイランスに人間を管理する資格はないと、彼は声を張り上げた。


「もう一度言うぞ、サーベイランス。人と違うことは罪じゃないッ!」


メディスンの叫びに、曇っていたブレイク、リーディン、ライティングの表情が変わり、三人とも身構えてサーベイランスのほうを見上げた。


サーベイランスは、首を左右に振りながら呆れているようだった。


そして、身構える四人に向かって言う。


「では、それが間違っていることを私が直々に教えてやる。そのお前らの身体にな」

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