#488

そして、その中の数人がノピアへと飛び掛かる。


ある者は全身から骨を尖らせたようなものを出し、またある者は爪を伸ばして刃のようなにしてノピアの身体を斬り裂こうとした。


ノピアはピックアップブレード――光剣でそれらを受けては弾き返したが、後から向かって来ていた子の蹴りが彼の顔面を襲う。


これもなんとかインストガンで防いだが、蹴りを受けた瞬間に爆発。


その衝撃でノピアは後退させられてしまう。


サービスはフォローしようと前に出てようとしたが、ノピアが彼女に向かって口を開く。


「早くしろ。さっきも言っただろう。こちらの心配はいらんよ。誰も殺さずに収めてみせる」


「わかった……。あなたを信じる」


サービスはそう言うと宙へと浮き、ノピアと特殊能力者の子らを飛び越えてサーベイランスのところへ飛んでいった。


当然特殊能力者の子たちはサービスを狙ったが、ノピアがそれをさせまいと子どもら中心へと突進。


サービスへの攻撃は阻止できたが、一気に敵に囲まれるという状況へと追い込まれてしまった。


その様子を見たサーベイランスは再び宙へと浮き、向かってくるサービスと空中で対峙する。


「サーベイランス……」


「考える時間は十分にあった。答えは出たかな? 我がサービス」


訊ねられたサービスは何も答えなかった。


ただ無言のままサーベイランスのことを悲しそうに見つめている。


答えない幼女を見て、サーベイランスは再び口を開いた。


「サービス、私と共に来い。私には……いや、世界にはお前が必要だ」


「あたしは……あなたの下へは行かない……」


サービスの言葉を聞いたサーベイランスは、「あぁ……」と呻きながら両手で顔を覆った。


大袈裟で芝居がかった態度だが、それでもサービスには彼の悲しみが伝わっているようだった。


両手で顔を覆い、俯いたままのサーベイランスは、残念そうに彼女へ声をかける。


「アイスランディック·グレイは救世主ではなく、愛玩具を作ったか……。残念だ……。とても、とてもな……」


「あなたもあたしも、グレイファミリーから見れば失敗作だよ」


「そうだな、その通りだと思うよ……。フフ、フハハハ」


サービスの言葉に、悲しそうにしていたサーベイランスが笑った。


それは、どこか自嘲じちょうじみた皮肉交じりの笑いだった。


「お前は、まだ人間に希望を抱いているのか? 奴らはこの地球ほしの中でも最も愚かな生き物だ。それを理解できないとは……」


「わかってる……けど。あたしは人間が好き……」


サービスはそう呟いた。


笑っていたサーベイランスは上げていた口角を下げてへの字口になると、彼女に襲い掛かる。


身体を押さえ込まれたサービスは、その小さな両手を伸ばしてサーベイランスの頭を掴み返した。


「だから……サービスはあなたを倒すッ!」

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