#469

「それを鵜吞みにして裏切られたらどうする? もし君がサーベイランスのような化け物だったら?」


「あたしを破壊する?」


サービスは近寄って来たベクターに訊ね返した。


それから彼女は、その寂しそうな表情のまま言葉を続ける。


「サービスはサーベイランスと戦いたくない……。サーベイランスは特別……それにとても苦しんでいる……。だけど、その苦しみが生命いのちを籠の中に閉じ込めようとしてる……。だから……サービスはサーベイランスを消さないといけない……」


サービスは天井を見ながらそう言った。


そして、急にその場にいた皆の顔を眺めて再び口を開く。


「サーベイランスが造ったもの、ネットに残したものすべて……。早いほうがいいけど、サービスだけじゃできない……」


ジャズは寂しそうに話すサービスに、無言で寄り添った。


まるで子を慰める母のように。


ミックスもそんな彼女の後に続き、サービスの傍へと近づく。


「あたしは化け物かもしれない……。でも、自分じゃそれがわからない……。たぶん、ここにいる皆が期待しているようなものでもない……。だから……信じてもらえないかもしれないけど……。サービスはサーベイランスを止めたい」


サービスはそう言うと両手を挙げた。


すると、先ほど破壊された電子機器が修復され、戦いで負った皆の怪我が治っていく。


ベクターやラヴヘイト、さらにはジャガーも一体何が起きているだと驚ていると、ノピアがジャガーの肩をポンッと叩く。


「よくやったな。じゃあ、彼女と共に行くとするか」


ノピア以外の皆が茫然としている中、ベクターが口を開く。


「五分で出る。皆それまでに準備を終わらせてくれ」


それから皆ジャガーに連れられ、サーベイランスと戦うためにこの施設にあるもので武装することになった。


すでに準備を終えていたノピアとベクターは、サービスと共に皆を待っていた。


ノピアはベクターに向かってこれから行われる戦闘のことを話している。


「まずはサーベイランスから共和国のシステムを取り戻し、それから奴を仕留める。そのためには、あの数の機械人形を相手にする必要があるが……」


「一体でも仕留め損なえば奴は生き残るというわけだな」


ノピアはベクターの言葉に頷くと、再び話を続ける。


「サーベイランスの本体は私が相手をする。ベクター長官は皆を率いて機械人形らをすべて破壊してくれ。どういうわけかわからないが、奴はヴィンテージや奇跡人スーパーナチュラルを狙っている」


「そう……。サーベイランスはあなたたちを憎んでる……特にノピア·ラッシクを……」


ノピアとベクターの会話に、サービスが口を挟んだ。


その発言にノピアは特に反応をしなかったが、ベクターはクスッと笑みを浮かべている。


「人工知能にまで追っかけられると、有名人は大変だな」


「構わんさ。それが私の使命なのだから」


そう言ったノピアを見上げているサービスは、不安そうにその身を震わせるのであった。

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