#384
草木も生えないサルファイドゾーンに建てられた
まさかたった一機の小型ジェットが特攻してくるとは思ってもみなかったのだろう。
操縦するミウムの狙い通りに、建物へと問題なく突っ込むことに成功する。
激しい衝撃が機内を走ったが、リバーブプレートの発生させたバリアのおかげで壊れることなく侵入できた。
「さてと、こっからは野郎臭い展開になるわけね」
ブライダルがブラスターハンドガンを両手に持って言うと、操縦席から立ち上がったミウムは自分の武器である六本の銃身からレーザーを発射する古い機関銃であるM134――ミニガンを彷彿とさせるレーザーガトリングガンを構えた。
「おかしいな、バーバリーの気配が消えた……。どうするブルース?」
訊ねられたブルースは、誰よりも早くジェット機から飛び出していく。
「ならば
強引に侵入した小型ジェット機の外には、
そして、出てきたブルースの姿を確認すると一斉射撃。
まるで雨のように弾丸が彼らに降り注ぐ。
「銃では私を止められん」
だが、ブルースが両手の掌を前に出すと、そこから現れた光の障壁が弾丸を防ぐ。
その光の壁を前に突き出しながら、ブルースは一人で信者たちの中を進んでいった。
「お前たちはこのジェットを守っていろ。私がバーバリーから神具を取り返したらすぐに連絡を入れる」
「おいクソ親父ッ! 何勝手に暴走してんだよ! 作戦が違うじゃねぇかッ!」
ソウルミューがそんなブルースに怒鳴ったが、彼は信者らを倒しながら建物の奥へと行ってしまった。
残されたソウルミュー、ダブ、ブライダル、ミウムの四人は、互いに顔を見合わせながらこれからどうするかと声を掛け合った。
作戦も何もブルースは最初から一人でやるつもりだったのだ。
ソウルミューが苛立ちからジェット機を蹴り飛ばすと、ミウムは言う。
「ブルースはバーバリーには勝てない。おそらくバーバリーはすでに神具の力を引き出している。それは、バーバリーが
神具の力を引き出す術とは、加護を与えられた状態のさらに上の力を引き出すものでもあり、今のバーバリーはハザードクラス以上――もしかしたらヴィンテージクラスの力があるかもしれない。
そんな相手にブルース一人ではとてもじゃないが敵わないだろう。
「じゃあ、僕らも行かなきゃッ! ブルースさんが死んじゃう!」
ダブが声をあげると、彼に続いて無表情のミウム、不機嫌そうなソウルミューが後に続いてジェット機から飛び出していく。
残されたブライダルはブラスターハンドガンを腰に収め、右手で頭を搔いていた。
「おいおい、ジェット機は誰が守るんだよ……。外は硫化水素のガスで充満しているんだよ。ジェットがなきゃ神具を奪えても帰れないじゃん……」
呆れていた彼女は、突然両手で頭を抱える。
「あぁぁぁッもうッ! なんなんだよあいつらはッ! 作戦とか前振りとかフラグとか無視しちゃってさッ! ほら見てよもうッ! あいつらのせいで頭なんて抱えちゃってるよ私ッ! 私は振り回すのは好きでも振り回されるは大嫌いなのにぃぃぃッ!!!」
それから一人で好き放題喚いたブライダルは大きく深呼吸をすると、ソウルミューたちの後を追っていった。
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