#383
――シストルムを取り返す準備を終えたソウルミューたちは、ブルースの航空機でバーバリーのいる
現在はサルファイドゾーンを自動操縦で移動中だ。
「到着したら小型ジェット機で基地内に特攻する。神具を回収したら即脱出するためにリズムはここで待機。あとの全員は私の援護を頼む」
ブルースが皆に指示を出していた。
彼の作戦は神具シストルムをバーバリーから奪取し、この航空機へと戻って逃げるというものだった。
ソウルミューは父親の作戦に不満なのか、不機嫌そうに訊ねる。
「で、オレたちが援護してお前は何すんだよ? まさか半分猫を返してくださいとかあの化粧男にお願いでもするつもりか?」
「私はバーバリーと戦う」
ブルースがそう答えると、ソウルミューはまるで小馬鹿にするように両手を広げて歩き出した。
そんな彼を見たリズムとダブがため息をつき、ブライダルはクスクスと笑っている。
「そうかいそうかい、それがお前の作戦か」
「何か不満があるのか?」
「ああ、正直に言ってやる。お前の作戦はつまんねぇ。オレに任せてくれ。もっとイケてるプランを考えてやる」
「あ~あ、また始まったよ」
ブライダルが笑みを浮かべながらポツリと言った。
だが、以外にもブルースはソウルミューの提案を受け入れた。
どんな考えがあるのかと、彼に訊ねようとすると――。
「不味い……。シストルムの意識が消えたぞ……。それと……これは……ッ!?」
ミウムが静かながらも驚きの声をあげた。
ブルースもその異変を感じ取ったのか、その顔をしかめている。
どうやら先ほど話に出ていた加護や啓示に無しに神具の力を操る術を、バーバリーが使ったようだ。
「もはや一刻の
「おいクソ親父ッ! オレのイケてるプランをまだ話してねぇぞ!」
「向かいながら聞く。リズム、私が指示したらさっき教えた通りやってくれ。では、行ってくる」
そして、ソウルミューたちは小型ジェットに乗り込み、最大速度で
それから目的地が見えてきたが、ブルースの作戦通りに加速したスピードを落とすことなく基地へと突っ込む。
「本当に大丈夫なの? 嫌だよ。突っ込んだ途端にボンって爆発してゲームオーバーとか」
「安心しろ。ジェット機に付けたリバーブプレートがオレらを守ってくれる。充電時間がなくて一回だけだけどな」
リバーブプレートとは、バリア発生装置である。
ソウルミューが先ほどエレクトロハーモニー社でこれを改造し、この小型ジェット機全体に効果が出るようにしたようだ。
ブルース以外の皆は、すでにソウルミューが用意していた装備、ガジェット類を身に付けていた。
ブラスターハンドガンなどのビーム兵器。
ジェットパック――飛行装置。
ホログラフィック·プロテクションスーツ、略称HPスーツ――簡易的防護服。
「おい、本当にいらねぇのか? もし外の空気が入ってきたら硫化水素のガスで死んじまうんだぞ?」
「私なら大丈夫だ。それにしても、まさかお前が私を心配をしてくれるとはな」
「そんなんじゃねぇッ! 中に入ってすぐに死なれたら困るからだ、クソ親父ッ!」
ブルースの言い方に声を荒げたソウルミュー。
そんな息子を見てブルースが笑っていると――。
「二人共、
操縦桿を握っていたミウムが声をかけ、小型ジェットは基地へと突っ込んでいった。
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