#379

ミウムに話を振られたダブは、身を震わせながらも自分の知っていることを話し始めた。


自分が永遠なる破滅エターナル ルーインの最高指導者であり父親でもあるイード·レイヴェンスクロフトの命令でバーバリーのところへ信者を連れて向かっていたこと――。


そのバーバリーが父から指示を受け、神具シストルムのある場所を探していたこと――。


そして、加護、啓示を与えられなくとも神具の力を行使する術を、バーバリーが使おうとしていたこと。


「さっきブルースさんが言っていたことと同じような話だけど、お父様は神具だけじゃなくて奇跡人スーパーナチュラルも捜していて、僕は神具を見つけたと言うバーバリーを手伝うように指示されたんだ」


ダブの話を聞いて、ミウムの機械の腕に付いた黒羊の印――人工知能のルーツーが訊く。


《神具を探している理由はわかったぜ。だけどよぉ、そのイード·レイヴェンスクロフってのがどうして奇跡人スーパーナチュラルを捜しているんだ? だって奇跡人スーパーナチュラル呪いの儘リメイン カースのように加護や啓示を受けなくても神具を操る術があるんだろ? だったらすでに能力者になってるそいつらは別にいらねぇじゃんか?》


「そ、それは僕にもよくわからない……けど、きっとあまりよくない理由だとは思う……」


ダブが弱々しくそう言うと、皆黙ったままとなった。


そんな空気の中、ブルースがダブに訊ねる。


「ダブ、でいいかな? 君はイード·レイヴェンスクロフトの息子でありながら、私たちにこんな話をしているということは、自分の父親を裏切っていると理解しているのかね?」


うつむきながらコクッとうなづくダブ。


どうやら彼はバーバリーの元へ行く前――。


ブライダルとミウムに捕まる前から父親のやっていることを良く思っていなかったようだ。


「僕は……お父様を……父を止めたい……。こんな状況だから言ってるんじゃなくてずっとそう思っていたんだ……。それに、今は帝国に捕まった兄さんを助けたい……」


「そいつを信用しろっての? 立場的にそういっておけば都合がいいからじゃないの?」


「ち、違うよ! さっきも言ったけど僕は……ずっと前から……」


ブライダルがからかうように口を挟むと、ダブは声を張り上げてまた俯いてしまった。


そんな彼のほうを見たミウムが言う。


「大丈夫だ。彼は嘘を言っていない」


「まあ、あんたがそう言うなら本当なんだろうね」


ミウムの言葉に、ブライダルは呆れながらも納得。


ソウルミューは彼女の態度に違和感を覚えたが、今はそんなことを気にしているときではないとその考えを飲み込んだ。


そして、両手を広げて皆の注目を集めるようにして声を発する。


「ようはバーバリーからあの半分猫を取り返せばいいんだろ? 簡単じゃねぇか。そうと決まればパーティーの準備だ! これからエレクトロハーモニー社に連絡するぞッ!」

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