#352
再び激しく重ね合う剣と機械の拳。
その衝撃の凄まじさで、すでに周囲の壁は崩れてしまっていた。
シンには、ミックスのいう困っている人間を助けるということが理解できなかった。
彼が見下す普通の人間とは、悩みを自分で解決するつもりもなく、人から影響を受けやすく、流行に左右されやすい。
その上、真面目で頭は固く、世界の救済を宗教――彼の父イード·レイヴェンスクロフトに託そうとする他力本願な連中であり、他は戦勝国であるバイオニクス共和国に加盟して安心している連中なのだ。
そんな自分の意思を放棄しているような奴らなど、もはや人間ではない。
例えば、
彼らは自分の命も他人の命も適当に扱う。
そんな
共和国の恩恵に
連中はただ正しいとされていることを実行しているという満足感があればいいのだ。
バイオニクス共和国に住む者も、ストリング帝国に住む者も、
なのに、どうしてそれがわからない。
何故そんな人間たちを助けようとするのだ。
お前は俺と同じく選ばれし者なのだ。
そんな連中のことなど気に掛ける必要などない。
「俺がお前に教えてやる! この世に生きている
「そんなのはお前の主観だろ! 俺はゴミじゃない人をたくさん知ってるよッ!!」
吠えるミックスにシンが剣を突き刺そうしたとき――。
突然彼の腕が途中で止まった。
シン自身も両目を見開き、驚いている。
どうして自分の身体が動かなくなってしまったのか。
「か、身体が重いッ! なんだこれはッ!?」
そしてそのままシンは、その身体ごと地面へとめり込んでいく。
彼は、まるで見えない何か押し潰されているような状態に必死で抗う。
「こんなものに負けてたまるか! 俺は神具に……この世界に選ばれた
「そのくだらない選民意識を変えて出直してこいッ!!」
ミックスはそう叫びながらすでに腕を振り上げていた。
その機械の拳には、真っ黒な渦のようなものが覆っている。
「変えるのはお前だ! ミックスッ!!」
シンはなんとか身体を動かし、反撃しようと剣を振り返す。
彼の身体からは、聖剣ズルフィカールから放たれているものと同じ青白い光が、凄い勢いで出ていた。
ミックスの黒い渦とシンの青白い光が交じり合った瞬間――。
二人がいた牢がある建物を吹き飛ばすほどの衝撃が撒き散らされる。
天井が無くなり空が見える。
崩れかけていた壁も倒れていた信者たちも宙を舞って行く。
そして、濃い
その影を見るに立っているの一人だ。
果たして二人のうちどちらが打ち勝ったのか――。
「おっしゃぁぁぁッ!!」
そこには足をピクピク
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