#278
立体映像――ホログラムで映し出された男は、暗部組織ビザールのメンバーであるイーストウッドだった。
彼は組織内でメディスンと同じ立場であり、部下に指示をする側の人間だ。
今回の集会も、彼が突然言い出した集まりのようだ。
《全員ちゃんと見ているようだな。では、早速話を始める》
ブレイクとリーディンは、逆立てた短いを手直しするイーストウッドを
ホログラムのためイーストウッド側からは見えていないが、そんな二人の態度にジャガーが注意する。
「おいおい、この人も一応オレたちの上司なんだぞ。そんな顔で見るなよ」
「しょうがないでしょ。ワタシ、こいつキライだし」
リーディンが返事をしたが、ブレイクのほうは何も答えずにただホログラムのイーストウッドを見ていた。
彼のことを気にせず、ジャガーとリーディンは話を続けている。
「お前とブレイクは本人の目の前で言いそうで怖いわ。ムカつくヤツでもそれだけはやめろよ」
「そこまでバカじゃないよ。ただいけ好かないんだよ。それに今日の集会だって、どうせ逃げたままの
リーディンが言った
ラヴヘイトは、ハザードクラスと呼ばれるバイオニクス共和国から最も優秀な人間と選ばれている者の一人で、
現在共和国から選ばれているのは――。
の五人だけである。
ラヴヘイトは、ブレイクたちが前の仕事――。
共和国の刑務所――
リーディンはあれからいくら捜しても見つからないラヴヘイトの話でもするのだろうと、
ブレイクのほうは口にしてはいないが、彼女と同じ気持ちだ。
それは先ほど述べた事件でのイーストウッドの態度に、どうも疑心暗鬼になっていたからだった。
「お前たち、いくらモニターでの集会といえもう少しは静かにしろ。これからイーストウッドの奴が話をするんだ」
メディスンがジャガーとリーディンへそう言うと、二人は黙ってホログラムのイーストウッドのほうを見る。
だが、当然リーディンの顔は不機嫌なままだった。
イーストウッドが長ったらしい挨拶を終えると、また逆立てた髪に手をやり、今までは違う重々しい口調で話を始めた。
《実は上層部から言葉で、この暗部組織ビザールの新たなリーダーが決定された。その人物は、現在それぞれ指揮を執っている私やメディスンよりも上の立場になるお人だ》
メディスンは、そんな話は聞いていないと内心で
だが、その人物の名をイーストウッドが口にし、彼はさらに驚かされることとなる。
《その新しい我らのリーダーとは、この共和国の前身組織だったバイオナンバー結成時からのメンバーであるベクター
「ベクターさんが……ッ!?」
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