#277
――そんなことが起きた次の日。
バイオニクス共和国の暗部組織ビザールを指揮する一人メディスンは、ビジネスホテルの一室にいた。
彼の目の前には、かつて人類を滅ぼそうとしたコンピューター神とする宗教組織――
年齢は十五歳でトレンチコートを着た彼女は、難しい顔をしてデバイスを
「ダメだぁ~何度やっても覚えられないッ!」
傷んだ髪を振り回してリーディンが叫ぶ。
メディスンはそんな彼女に
「大丈夫だ、計算式はパターンさえ覚えれば応用が利く。その証拠にさっきは解けたじゃないか」
メディスンは、リーディンに基本的な学問を教えていた。
それは彼女が、幼い頃から
そのような経歴もあり、リーディンがメディスンによってビザールに入ってからは、こうやって学校で習うようなことを彼に教えてもらっている。
「しかしだな。私が教えるよりも学習AIのほうが効率よく学べるんじゃないか?」
「いいのッ! ワタシには機械よりも人間に教えてもらったほうが覚えやすいのッ!」
「だったら何故私なんだよ? どうせ習うなら同じ年齢のジャガーやブレイクのほうが良いと思うが……」
メディスンにそう言われたリーディンは、わかりやすく不機嫌そうな顔をする。
どうも彼らに、何度か勉強を教えてもらったことがあったようだ。
「ジャガーは間違える
「わかったわかった。だが、そろそろ勉強時間は終わりだ。奴らはまだ来てないが、これから会議が始まる」
メディスンはそういうと、部屋に置いていたコンソールを操作し始めた。
そして、リーディンが勉強用のデバイスを片付けていると、部屋に二人の人物が入って来る。
一人は白髪で和装姿の少年で、もう一人は寝起きのままのようなボサボサ頭の少年だ。
彼らもビザールのメンバーでメディスンの指揮下にある組織の一員――ブレイク·ベルサウンドとジャガー·スクワイアである。
二人は手に持ったたい焼きを頬張りながら、側にあったシングルベットへと腰掛ける。
そんな二人を見てリーディンがクスっと笑った。
「アンタたち、まだ引きずってんだ」
からかうように言うリーディンに、ブレイクが無表情のまま言葉を返す。
「過去に振り回されんのは、人間なら誰でも通る道だ」
「認めちゃうんだ。まったく、メディスンもそうだけど。このグループってさ。ワタシ以外は
「昔の男に会いてぇだけで、暗部に落ちてきた女に言われたくねぇな」
ブレイクがそう言い返すとジャガーが笑い始めた。
コンソールを操作しているメディスンも
「な、ななななに言ってんのッ! 昔の男じゃないッ! 現在進行形で継続しているたしかな関係よッ!」
リーディンがアワワと慌てて言い返すと、メディスンがその場にいる三人へ声をかけた。
「おい、いつまでふざけてるつもりだ。もう組織の集会が始まるぞ」
メディスンがそう言うと、部屋の中心に、立体映像――ホログラムによる男の姿が映し出された。
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